※IA=INSPIRE ACADEMY 当塾の略称になります
中学受験、子供を叱って勉強させるべきなのか?
中学受験を控えたご家庭では、勉強しない子供に対して親が感情的になってしまうケースが少なくありません。親が子供を怒って勉強に向かわせることには、どのような弊害があるのでしょうか。今回は、INSPIRE ACADEMYの塾長と、塾生の親御様との対談を通じて、その実態に迫ります。
以下敬称略
塾長:本日はありがとうございます。中学受験をされていると、保護者の方がどうしてもお子様に対して感情的になってしまう場面が多いと耳にします。実際、受験勉強が始まった頃は、どのようにお子様と接していらっしゃいましたか。
母親:はい。お恥ずかしい話ですが、受験勉強が始まった当初は、毎日のように子供を怒って勉強させていました。宿題が終わっていなかったり、確認テストの点数が悪かったりすると、「なんでやらないの」「もっと真面目にやりなさい」と、つい声を荒げてしまっていたのです。
塾長:保護者の方としては、お子様の将来を思うからこそ熱が入ってしまうのだと思います。ただ、そのように怒って勉強を促した場合、お子様の様子はどのようになりましたか。
母親:私が怒ると、その場では泣きながら机に向かって勉強するんです。でも、私が直接見ていない塾の授業中や自習室では、すっかり手を抜くようになってしまいました。
塾長:そうですよね。子供は「親に怒られたくない」という気持ちだけで動くようになってしまい、自発的に勉強するという姿勢を失ってしまう傾向にあります。
母親:本当にその通りでした。親の監視がある時だけ机に向かい、親が離れると全く勉強に向き合っていない状態になっていたのです。

怒ることで生じる表面的な成果と副作用
塾長:実は、親が怒って無理に勉強させた場合、小テストなどで一時的に点数が上がることはあります。短期的には、怒ったことによる結果が出たように見えてしまうのです。
母親:はい、私も最初は「子供は自分でやりたくないことを率先してやらない」「怒ればちゃんと点数が取れるのだから、このやり方で間違っていない」と勘違いしてしまっていました。
塾長:しかし、そのような結果は決して長続きしません。子供は根本的な理解を深めようとしているのではなく、ただ「親から怒られないため」に作業をしているだけになっているからです。
母親:親の顔色を伺うためだけに勉強するようになってしまうのですよね。
塾長:おっしゃる通りです。そして、常に怒られ続ける環境にいると、子供はどうすれば怒られずに済むかという手段だけを考えるようになります。たとえば、以下のような行動が見られるようになります。
- わかっているフリをしてその場をやり過ごす
- 終わっていない宿題のプリントやノートを隠す
- テストや宿題で解答のカンニングをする
母親:思い当たることがあります。子供が、わからない問題を「わからない」と素直に言えなくなってしまっていた時期がありました。
6年生の学習内容と自発性の欠如による壁
塾長:学年が上がり、小学6年生の学習内容に入ると、さらに状況は厳しくなります。中学受験の算数の図形問題や国語の長文読解などは非常に高度になり、親が家庭で教えられる内容にも限界がきます。
母親:はい、私自身も問題を見ても、どのように解説すればいいのかわからないことが増えました。
塾長:そこで親が怒ってやらせようとしても、子供自身もわからないものはわからないままです。それまで自発的に勉強してこなかった子供は、難しい問題や未知の問題に出くわしたとき、どのように考えればよいのか、自分で対処できなくなってしまうという事実があります。
母親:自分で考える力を養ってこなかったため、自分の力で壁を乗り越えられなくなってしまうのですね。
中学受験を乗り越えたその先にあるもの
塾長:さらに言えば、仮に親が怒って徹底的に管理することで、志望校に合格し中学受験を乗り越えられたとしても、その先で大きな壁にあたるケースが多いのです。
母親:中学受験の合格がゴールではないということですね。
塾長:中学受験はあくまで通過点です。中学受験自体が近年非常に厳しくなっていることもあり、多くのご家庭で中学受験がゴールになってしまっています。しかし当然、進学した中学校では、学習内容もさらに増え、部活動などの課外活動も始まります。難関校であればあるほど勉強は大変です。そのような環境下で、親が小学生の時のように学習スケジュールをすべて管理しきるのは、事実上不可能です。
母親:確かに、中学生ともなれば親の言うことを素直に聞かなくなる反抗期も始まります。
塾長:はい。無理な管理と怒ることで築かれた親子関係は、反抗期に入るとさらに悪化します。親に反発し、一切勉強をしなくなってしまうケースも珍しくありません。
母親:大学受験を少しでも有利にするために中学受験をさせたのに、それだと本末転倒になってしまいますね。
塾長:おっしゃる通りです。中高一貫校での6年間が学習面での空白期間となってしまい、結果的に大学受験で不利になってしまう子供も実際に存在します。怒って管理することによる影響は、受験後にも長く尾を引くという事実があります。
母親:親が怒ることで、子供の学習意欲や将来にどのような影響が出るのか、冷静に受け止める必要がありますね。