【完全版】世田谷学園中学校|歴史・特色・進学実績・入試対策を徹底解説
東京都世田谷区にある世田谷学園中学校は、都内でも高い人気と実績を誇る伝統的な男子校です。長い歴史を背景に、仏教精神に基づく教育を柱としつつ、近年では難関大学への進学実績でも注目されています。また、2021年度からは新たにコース制を導入し、個々の生徒の進路・志望により適した指導体制が整えられました。本記事では、世田谷学園中学校の魅力を、歴史・教育方針・コース・カリキュラム・行事・進路実績・入試対策まで、総合的に詳しく解説します。
■ 創立430年以上の歴史ある仏教系中高一貫校
世田谷学園の創立は、なんと戦国時代の末期にまで遡ります。1592年(文禄元年)、曹洞宗の高僧・密庵祖門禅師によって江戸の芝に「学問所」として設立されたのが始まりです。この「学問所」は後に「栴檀林(せんだんりん)」と呼ばれ、全国から僧侶や学者が集まる学問の中心として繁栄しました。
明治時代に学校制度が導入されると、栴檀林は、大学林が「駒澤大学」に、中学林が「世田谷中学」(のちの世田谷学園)に分かれ、現在に至るまで発展を続けています。世田谷学園は、駒澤大学の附属校ではなく、あくまで「系属校」として独立性を保ちつつ、良好な連携関係を維持しています。
「禅」に根ざした建学精神は、今も学校生活や行事、授業の随所に息づいており、現代的な教育内容と伝統が見事に融合した教育が実践されています。
■ 教育理念「Think&Share」~天上天下唯我独尊~
世田谷学園の教育理念は、仏教の言葉である「天上天下唯我独尊」に由来します。これは、「自分の存在を尊びつつ、他者も尊重し、共に学び合う」という意味が込められており、学園では「Think&Share」として現代の教育に即した形で展開されています。
生徒には、知識や学力だけでなく、自分と他者の個性を大切にし、協調・協力して学び合う姿勢が求められます。この理念は、授業や行事、日々の生活の中で繰り返し語りかけられ、生徒の心に自然と浸透していきます。
また、仏教校として「坐禅」の指導も行われており、精神統一や自己を見つめ直す機会を全生徒が持ちます。入学から卒業まで、学問と人間性の両面での成長が期待できるのが世田谷学園の大きな魅力です。
■ コース制の導入と6年間の学び
2021年度より、より生徒一人ひとりに合った学びを実現するため「コース制」を導入しました。
- 本科コース
多様な進路選択に対応するスタンダードなコース。基礎から発展まで、バランスよく学力を伸ばし、高2で文系・理系に分かれます。 - 理数コース
理数分野に強い関心・適性を持つ生徒向けのコース。中学段階から数学・理科の発展学習や課題研究に取り組みます。
さらに、中3からは本科コース内に特進クラスが設けられ、難関大を志望する生徒を中心に、発展的な学習内容や問題演習が強化されます。特進クラスは、定期考査や学習意欲を踏まえて毎年編成が見直され、希望と実力に応じて挑戦できる仕組みになっています。

■ 世田谷学園の特色あるカリキュラム
6年間の学びは3つのステージに分かれ、段階的に学力・人間力を伸ばしていきます。
ステージ | 対象学年 | 主な目標 |
---|---|---|
前期 | 中1・中2 | 基礎学力・学習習慣の確立、自立心の養成 |
中期 | 中3・高1・高2 | 実践的な学力向上、志望大学・進路の明確化 |
後期 | 高3 | 大学受験に向けた完成期、実戦力の強化 |
加えて、世田谷学園ではICT教育にも注力しており、全生徒にiPadを配布。オンライン教材やデジタルノート、情報収集・発信のスキルも育成します。
■ 行事・課外活動 ~心を育む多彩な体験~
仏教系の学園ならではの成道会・涅槃会などの宗教行事に加え、以下のような体験学習・行事も充実しています。
- 中1 サマーキャンプ(黒姫高原)
大自然の中での共同生活や野外活動を通じて、仲間との絆を深めます。 - 中3 沖縄修学旅行
戦跡巡りや平和学習を通して、歴史を学び、平和について考える貴重な機会となっています。 - 高1 カナダ語学研修
約2週間の短期留学。ホームステイや現地高校での授業参加、観光を通して、生きた英語と国際感覚を養います。
また、高校では希望制のニュージーランド留学やカナダ姉妹校への交換留学、模擬国連、理科部による研究発表、文化祭(天樹祭)など、多彩な行事・課外活動が揃っています。
■ 進学実績 ~難関大学への確かな合格力~
世田谷学園は、例年難関大学に多くの合格者を輩出しています。
2022年度入試結果では、
- 東京大学 12名
- 一橋大学 5名
- 東京工業大学 7名
- 早稲田大学 121名
- 慶應義塾大学 80名
- 上智大学 28名
- 明治・青山・立教・中央・法政(MARCH) 229名
など、都内でも有数の実績を誇ります。
さらに、駒澤大学への推薦制度もあり、希望者は仏教学部を中心に利用可能です。以前は多くの推薦枠が駒沢大学に設けられていましたが進学校である世田谷学園から駒沢大学に行く人数自体が少なく推薦枠はほぼなくなりました。
■ 入試傾向と対策
世田谷学園中学校の入試は、一般入試(4回)と算数特選入試、帰国生入試などで構成されています。特に算数特選は人気が高く、受験者も多いです。
【算数】
難問も出題され、特に図形・速さ・場合の数・規則性といったテーマが頻出。単なるパターン演習だけでなく、記述力・論理力も必要です。
【国語】
長文読解+記述問題が中心。文章量が多く、選択肢問題よりも記述問題の比重が高め。物語文と説明的文章の融合問題もあり、表現力も試されます。
【理科】
3分野融合型。実験や観察をもとにした考察問題や計算問題が多く出題されます。教科書レベル以上の思考力が必要です。
【社会】
地理・歴史・時事問題がバランス良く出題。近年は資料読解型や複合問題が増加傾向です。
▶ 対策のポイント
- 算数・国語ともに記述問題の訓練は必須
- 理科・社会は「思考力問題」への対応力が重要
- 演習中心ではなく、「なぜそうなるか」を考える学習が求められる
■ 世田谷学園での6年間が生み出す力
世田谷学園の6年間で得られるものは、単なる「学力」だけではありません。
「禅」に基づく落ち着いた校風、「Think&Share」による仲間との協働学習、学びに向かう自主性、そして教師の手厚いサポートが相まって、着実に生徒たちは成長します。
男子校らしい活気に溢れつつも、落ち着いた環境の中で、自分自身と向き合いながら過ごす6年間は、受験を超えた「生きる力」を育みます。難関大合格だけでなく、人間力を高めたい受験生には、まさにおすすめの学校といえるでしょう。
■ 受験生・保護者へのメッセージ ~世田谷学園を目指すあなたへ~
世田谷学園中学校は、単に学力を身につけるだけの学校ではありません。受験勉強を進める中で、ぜひ知っておいてほしいのは、この学校が「人としてどう生きるか」を真剣に考えさせてくれる学校だということです。
もちろん、入試問題は標準~やや難レベルで、算数・国語では記述力、理科・社会では考察力・思考力を問われるため、普段から「なぜそうなるのか?」を突き詰める学習習慣が大切です。特に、算数特選入試を志すなら、応用問題や複合問題への対応力をじっくり養っておく必要があるでしょう。
また、世田谷学園は男子校です。男子ならではの自由で活発な校風の中で、6年間を仲間と共に成長していくことになります。保護者の方にとっては、入学後の学校生活や校風が気になるところだと思いますが、世田谷学園では教師との距離も近く、面倒見が良い指導体制が整っていますので、学力面・生活面ともに安心して任せられます。ただし同様に男子校ならではの特徴というのも当然はらんでいるので男子校が子どもにとって合うかどうかをよく見極めましょう。
近年は、保護者会・学級懇談会・個別面談も丁寧に行われており、受験前の不安や、入学後の進路・生活面の悩みも相談しやすい環境が用意されています。
受験生の皆さんには、世田谷学園の6年間が「勉強する場所」以上の意味を持つことを、ぜひ理解してほしいと思います。入試に向けては、自分の力を焦らずに、丁寧に積み上げること。そして「なぜ学ぶのか」を考え続けることが、この学校にふさわしい受験準備となります。
保護者の皆様にとっても、お子さまの成長において「学力」と「人間力」の両方を養うという点で、世田谷学園はきっと大きな価値ある6年間を提供してくれるはずです。