SAPIX(サピックス)に通うお子さんを持つ親御さんにとって、日々の膨大な家庭学習のフォローは最大の悩みどころです。SAPIXは個人個人へのフォローアップが手薄で落ちこぼれるとおいて行かれる塾です。それ以外にも「進度が早くて宿題が回らない」「親が教えると感情的になってしまう」という悩みがつきもの。
そんな子にサピックスで進められる選択肢が、公式の個別指導塾「プリバート(PRIVATO)」
「公式だから安心」というイメージの一方で、実態や費用感が気になるところです。この記事では、プリバートの仕組み、最新の料金体系、他塾との価格差、実際の併用率や指導内容まで、親御さんが本当に知りたい情報を客観的に整理してまとめました。
1. プリバートとは?(基本概要と学習内容)
プリバートは、サピックスと同じ「SAPIX YOZEMI GROUP」が運営する、サピックス生のための準拠個別指導塾です。基本的にはサピックス小学部に通っている生徒が受講します(プリバートのシステムはSAPIXとの連携で最大限の効果を発揮しますので、両方に通われることをお勧めしています※公式HPより引用)。
最大の特徴は、「サピックスの集団授業を補強するためだけに作られた専用塾」という点です。ゼロから新しい単元を教えるのではなく、授業の消化不良を解消する役割を担います。
主な指導内容
- サピックス教材の完全フォロー(最優先)『デイリーサピックス』『デイリーサポート』『基礎力トレーニング』などをそのまま持ち込み、家庭学習で自力で解けなかった問題(★マークの難問など)をピンポイントで解説・演習します。
- テスト対策・解き直しマンスリー確認テスト、組分けテスト、サピックスオープンなどのサポート。過去の成績データがグループ内で共有されているため、苦手な単元に絞った対策が可能です。
- 小6の志望校対策(秋以降)膨大な量になる志望校別特訓(SS特訓)の教材フォローや、過去問の添削・解説を個別のペースに合わせて実施します。
2. プリバートの料金と他塾との価格差
プリバートの授業は1コマ60分が基本単位です。サピックスの月謝に以下の料金がそのまま上乗せされます(併用割引などはありません)。
料金目安(1コマ60分あたり・税込)
- 1対2指導:約4,400円 〜 6,600円(小6は6,600円)
- 1対1指導:約6,600円 〜 9,350円(小6は9,350円)
※学年や契約コースによって1コマあたりの料金設定が異なります。週1回(月4回)通った場合の月額目安は、1対2指導で約2.4万〜3万円、1対1指導で約3.3万〜4万円前後です。これに季節講習やテスト前の追加コマを入れるとさらに高額になります。
他のサポート指導・個別指導との価格比較(週1回換算)
| 塾・サービス名 | 指導形式 | 月額費用の目安 | 特徴・価格差の理由 |
| プリバート | 1対2 / 1対1 | 約2.4万 〜 4万円 | サピックス公式のため、教材費やカリキュラム分析のコストが抑えられている。 |
| 東大家庭教師友の会など | 完全1対1 | 約2.5万 〜 4万円 | 現役東大生や難関大生による指導。個人契約に近い水準。 |
| TOMAS(トーマス) | 完全1対1 | 約5万 〜 8万円 | 完全に独立した進学個別。リッチな自習室や担任制の管理コストが含まれるため高め。 |
| 受験ドクター / SS-1 | 完全1対1 | 約5万 〜 10万円以上 | 中学受験専門の「プロ講師」がつきっきりで指導するため最も高額。 |
サピックス生のフォローを得意とする他社と比較すると、プリバートの価格設定は「大手の中では比較的良心的〜中間層」に位置します。家庭教師を雇うよりは安く抑えられますが、一般的な個別指導塾よりは高めの水準です。
ただしサピックスに通っていることが大前提の塾なのでここにプラスしてサピックスの学費は当然必要になります。
3. 講師の質(プロ講師 と 大学生アルバイト)
プリバートの講師陣は、自身も中学受験を経験した「サピックス卒業生の優秀な大学生アルバイト」が主力です。個別指導塾としては最高水準の時給で募集されており、主に東大・早慶・一橋などの難関大生が在籍しています。
教室内には室長をはじめとするプロの常勤講師やベテラン講師が一部おり、全体のカリキュラム管理や保護者面談、アルバイト講師への指示出しを行っています。
小まとめ:サピックス公式のサピックス対策塾
- サピックス対策:講師自身がサピックスのカリキュラムや過酷さを身をもって知っているため、「この時期はここを落としちゃダメ」「この問題は捨てていい」といった、実体験に基づいたリアルなアドバイスをくれます。
- サピックスで点を取るための塾:サピックスでクラスが下がってしまう、模試の偏差値が上がらない、宿題が終わらない、質問ができないなどの問題を解決し、サピックス内での成績をアップさせるための塾です。つまり中学受験合格に直結するかは不透明もちろんサピックス内で成績が上がれば合格する確率もあがるという論調ですが、言葉を選ばず言えばタイトルの通りです。
- 融通が利かない点も:「講師の指名や変更が原則不可」というルールがあるため、日によって先生が変わったり、相性の合わない学生講師に当たったりするリスクがあります。「完全にプロの職人技で、一瞬で苦手を見抜いてほしい」という場合は、中学受験専門のプロ家庭教師のほうが確実性が高いと言えます。
- サピックス経験者のお兄さんがサピックスのコツを教えてくれる場所と言えるでしょう。
4. サピックス生の併用率とプリバート利用率
「サピックス生はみんな個別や家庭教師を併用している」という噂がありますが、実際の割合は学年や目的によって異なります。
プリバートの利用率
サピックス生全体の「約1割強(10〜15%程度)」です。サピックスの校舎と物理的に同じビル、またはすぐ近くにあることが多いため、授業前後にそのままスライドして通える利便性から、最も選ばれやすい選択肢となっています。
他塾・家庭教師も含めた総併用率
低学年〜4年生のうちはサピックス単独が大半ですが、5年生の後半(算数が急激に難化する時期)と、6年生の秋以降(過去問対策・SS特訓が始まる時期)に併用率が跳ね上がります。最終的に6年生の時点で、何らかの個別指導や家庭教師をスポット(テスト前だけ、過去問添削だけなど)含めて利用している家庭は、全体の3割〜4割近くに達すると言われています。
上位層ほど併用している?という誤解
「α(アルファ)クラスは全員家庭教師をつけている」というのは極端な都市伝説です。上位層は自力でテキストを消化できる子が多いため、むしろ単独通塾の割合も高いです。併用している場合は「さらに高いレベル(筑駒・開成など)の過去問で突き抜けるため」という目的です。
サピックスについていけない人が使う塾
実際は、真ん中から下位のクラス(アルファベットクラス)のご家庭が、「テキストが消化しきれずクラスが落ちていくのを防ぐための防衛策」としてプリバートや個別を頼るケースが非常に多いのが実態です。
5. プリバートのメリット・デメリット
メリット
- テキストの持ち運びや説明の手間がゼロ:サピックスの教材をそのまま使えるため、「今週のこのプリントをやらせてください」と言うだけで話が通じます。他塾の個別指導のように、親がカリキュラムを説明したりコピーを用意したりする手間が一切ありません。サピックス公式の強みでしょう。
- サピックスの思想・カリキュラムを邪魔しない:算数の線分図の書き方や解法のプロセスなど、サピックスと100%同じ解法で教えてくれるため、子供が混乱しません。
- 通塾ルートの安全性・効率性:サピックスの近くにあるため、授業の前に1コマだけプリバートで質問してからサピックスの授業へ行く、といった効率的なスケジュールが組めます。
デメリット
- 「講師ガチャ」があり、指名ができない:一番の不満として挙がりやすいポイントです。毎回先生が変わることもあり、指導の連続性や「うちの子の性格に合わせた長期的なアプローチ」は期待しにくい側面があります。
- 「講師の質もまちまち」:サピックスの経験者とはいえ、大学生バイトの域は出ません。しっかり事前準備をしてくれるか否かはバイトのモチベーション頼りになってしまいます。○○先生はすごくわかりやすくて進みも早い、でも△▼先生は答えを読んでるだけで、よくわからないという差が。これもガチャの一端かもしれませんね。
- 良くも悪くも「サピックスの延長」でしかない:サピックスのシステムに最適化されているため、そもそも「サピックスの解説の書き方が子供に合っていない」「全く違うアプローチでブレイクスルーさせたい」という場合、現状維持の補習(対症療法)にとどまってしまい、根本的な成績爆上げには繋がりにくいという声もあります。
- 1対2だと、もう1人の生徒に引っ張られることも:指導形式が1対2の場合、片方が演習・片方が指導というサイクルになりますが、もう1人の生徒が騒がしかったり質問攻めにしていたりすると、我が子の指導時間が実質的に削られてしまうという不満が稀に見られます。
- 結局自習室はない:サピックスの最大の欠点自習室がない問題ですが、ここも自習室が使えない(存在しない)校舎がほとんど。授業時間内に終わらなかったことや予習復習の一部を家に持って帰らざるを得ず、家での学習環境は相変わらず必要でしょう。
6. まとめ:どんな家庭に向いているか?
プリバートへの通塾を検討する際の判断基準は、以下のようになります。
向いているご家庭
- 「サピックスのやり方・教材には満足しているが、家庭で親が教える時間が足りない、または親が教えるとケンカになるので、家庭学習の外注先・質問教室の代わりとして使いたい」というケース。
- 算数など、特定の1教科だけが崩れていてピンポイントで補強したいケース。
- サピックスの模試、クラス分けで上に行きたいケース。
- 普段のサピックスの環境では質問が全然できず、理解が追い付かないケース。
向いていない(他塾を検討すべき)ご家庭
- 「根本的に勉強のやり方から見直したい」というケース。
- 「子供のモチベーションを上げてくれる、特定のプロ講師にガッツリ伴走してほしい」というケース。
- そもそもサピックスの教え方と相性が悪いケース。
- 中学受験を一つの塾で完結させたいケース。
根本的な立て直しを求める場合は、当塾などをピンポイントでスポット利用する方が効果が出やすいと言えます。
プリバートはサピックスによるサピックスのための塾です。出来の悪い生徒を集めてもう一儲け、とまでは言いませんが痒い所に手が届くようになる。といったイメージです。でも結局それって自習室があったり、講師に質問しやすい環境があれば発生しない問題だったりします。
お子さんの現在の学習状況と、ご家庭で割けるサポート時間、そして予算を天秤にかけながら、最適なサポート環境を選んでみてください。