中学受験において「出願は早い方が良い」とよく耳にします。しかし、その理由について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。今回は、中学受験において出願を早めにするメリットや、その必要性について考えていきたいと思います。
出願は早い方がいいと言われる理由
- 受験番号が若い順に退室できることが多い
まず出願は早い方がいいと言われる理由の一つに受験番号が早くなるという点があります。一般的には出願順に受験番号が割り振られるため、早めに出願すれば早い受験番号がもらえるのです。だからなんやねん…と思われるかもしれませんがこれには大きなメリットがある場合があります。受験番号が若いと入試当日に試験終了後、受験番号順に退室できるため(学校によりますが)早めに出てくることができます。特に2/1などに午後入試を考えている場合、午前の試験が終わってから次の試験会場へ移動する時間に余裕が持てるため、出願を早くすることが有利だとされています。特に栄東や渋幕といった人気校では、試験終了後に受験生が教室から退室するまでに1時間ほどかかることがあります。受験番号が早ければ、試験終了後10分程度で退室でき、午後に他校の入試が控えている場合でも焦らずに次の試験会場に向かうことができます。この点で午後入試がある場合は午前の試験に早めに出願することが大きなメリットとなります。午後入試がなかったとしても早く帰って休めるのはメリットですよね。試験が終わって一時間も待たされていたら疲れてしまいます。テストでできなかったところの復習もしたいところですし。
- 受験番号が早いことが合格に直接影響するの?
しかし受験番号が早いこと自体が合格に直接影響するわけではありません。試験の合否は、あくまで得点に基づいて決まるため、受験番号の早さが合否を左右することはありません。よく言われるのは早い出願のほうが誠意が見せられる!ということ。しかしこんなものはオカルトに過ぎません。公平、公正が求められ、コンプライアンスが厳しくなっている現代で受験番号が若いから合格なんてことはないのです。なので焦って出願する必要はありません。合否に限っては受験番号の早さにこだわりすぎる必要はないということです。
出願の早さと受験意識の高まり
もう一つの理由として、出願することで本番の受験への意識が高まるという点があります。出願を済ませると、緊張感が増し、本番モードに切り替わります。これは受験に臨む精神的な準備として非常に大切です。しかしこれも親側の気持ちの問題が多く子供がどう感じ取るかはわかりません。結局は気の持ちよう、この域を出ない話です。
併願校を迷っている場合、過去問演習をどこの学校をやるかで迷います。しかし出願を終えれば当然やる学校は決まるためあとは出願校の受験に向けて全力を尽くすのみという脇道にそれず目標が定まることがメリットです。

早い出願での誤解・合格は受験番号で決まらない
出願が早ければ受かりやすい、繰り上げは受験番号の若い方から、奇数がいい、偶数がいい、大安の日に出すべきなどの情報も時々見かけますが、これらは根拠のない迷信に過ぎません。受験番号が合否に影響することはありませんし、試験の成績がすべてを決定します。そのため、出願時に番号の早さや偶数・奇数にこだわる必要はありません。
またコロナ禍でインターネット出願が広まる前は学校の窓口に早朝から並んで出願することが有利とされる風潮もありましたが、現在ではそのような考え方は廃れてきました。大学受験は先着順ではありません。幼稚園の入園を勝ち取るため親が夜通し並ぶ、なんてことをしなくていいのです。むしろ迷惑になっていまします。
面接のある学校の場合
ただし女子校などで面接が実施される学校では、早めに出願した方が有利なケースもあります。受験番号が早いと面接の順番も早くなり、午後に他の学校で入試を受ける場合、午後入試の時間に間に合う可能性が高くなります。しかし最近では面接の順番もランダムに行う学校が増えているため必ずしも早い出願が必要なわけではありません。つまり運です。あまり気にしなくていいです。
また、午後入試を行う学校も柔軟な対応を取っているところが増え、試験開始時間が遅めに設定されていたり、遅刻しても対応してくれるケースがあるため、出願時に無理をして早朝から並ぶ必要はありません。時間でバッサリ切ってクレームになれば困るのはその学校ですから。今はネットで噂も光の速さで伝わるので学校側も誠意のある対応をするのが一般的です。そんなことより何よりも大事なのは体調管理です。寒い中早朝から並ぶことで体調を崩してしまっては元も子もありません。
親が体調を崩したところで子どもにうつらなければいい、と思うかもしれませんが中学受験は親が学校まで連れて行くのが基本です。特にコロナ禍以降学校側も感染症に敏感になっています。自分の子供だけが別室受験などとなれば子がパフォーマンスを発揮できない可能性もあります。親自身も体調もしっかり管理しましょう。

結論
中学受験において出願を早くすることには確かにいくつかのメリットがあるにはあります。しかし無理をして早朝から並んだり、極端に早いタイミングで出願する必要はありません。合否はあくまで試験の成績で決まるため、受験番号の早さに過度にこだわる必要はないのです。
むしろ、出願を早めに行うことで受験に対する意識を高め、精神的な準備が整うことが大切です。出願は焦らず、余裕を持って進め、体調管理をしっかりと行いながら本番に備えることが一番の成功の秘訣と言えるでしょう。