中学受験とは何か?その概要と近年の動向について

中学受験とは何か?その概要と近年の動向について

中学受験とは、私立中学校や国公立の中高一貫教育校に入学するための選抜試験を受けることを指します。多くの家庭では、小学3年生の冬から受験勉強を本格化させ、小学4年生から塾通いを始めることが一般的です。この受験に対して「わざわざ小学生のうちから勉強をさせてまで中学受験をする意義は?」といった疑問を抱く人も少なくありません。この記事では、中学受験の意義や理由、最新の受験動向を掘り下げて説明します。

中学受験をする理由は多種多様

中学受験を選ぶ理由は、受験者と保護者の間で多様です。以下に、主な理由をいくつか紹介します。

  • 学習習慣の育成:子供のころから勉強癖をつけることで大人になっても高い学習意欲を持ち続けることができ、学ぶことへの障壁が少なくなります。
  • 学習環境の向上:周りが勉強する空気をまとっているので一人で勉強モードになる必要がありません。幼少期においては意外とまわりの環境というものが大切になります。
  • 学校環境の問題:地域の公立中学校の治安や学習環境が不安視される場合の代替手段。特に地元の中学は選べないため地元の荒れた中学に入れたくないという親御様から一定数の人気があります。
  • 友人の影響:周囲の友達が中学受験をするため、それに合わせて受験を決めるケース。このケースは首都圏でも23区内など特に活発な地域で活発です。
  • 学校の魅力:制服や施設、教育理念といった学校独自の魅力に惹かれて受験を決意するケース。

このように、中学受験を行う理由は、子どもの将来を見据えたものから、身近な動機までさまざまです。特に、自分の意思で試験対策に取り組む子どもは、より高い合格率を示す傾向にあります。

少子化の中学受験者数への影響は?

ここ数年、中学受験に挑戦する子どもの数は増加しています。少子化により首都圏の小学6年生の総数は減少傾向にあるものの、受験生の数は右肩上がりです。たとえば、首都圏に位置する埼玉県は2022年の受験者数で前年に比べ18%増の約3万981人に達しました。特定の中学校では志願者数が過去最高を記録する例もあり、中学受験が社会的に大きな関心を集めていることがわかります。

一方で、難関校への出願者数は必ずしも増加していないというデータもあります。以下に、難関校の志願者数を一部紹介します。

男子校の例:御三家

  • 開成:1,206人
  • 麻布:934人(前年より増加)
  • 武蔵:640人(前年より増加)

女子校の例

  • 女子学院:769人(前年より増加)
  • 桜蔭:557人
  • フェリス女学院:464人(前年より増加)

フェリスは御三家ではありませんが人気の女子中高一貫校です。(もう一つは雙葉)

多くの難関校では、出願者数が増加している学校もあれば、減少している学校もあります。これは、新型コロナウイルス感染症の影響により、受験生が受験校を減らし、受験の負担を軽減させたことが要因の一つです。

中学受験の最近の動向

コロナ禍により、受験傾向にはいくつかの変化が見られました。例えば、感染防止策として私立中学が積極的にオンライン授業を導入し、公立中学校との差別化を図ったことが注目されました。これにより、通常であれば公立中学校を選択する家庭が急遽私立受験にシフトしたケースも増加しています。その結果として、難関校を避け、難易度が比較的低い学校を志望する層が拡大しました。

一方で、2024年も引き続き、感染症への懸念から受験校数を減らす動きが続くと予想されています。受験生が「安全策」として受験校を絞ることで、難関校の受験者減少に影響を与える可能性があるのです。

中学受験と高校受験の違い

中学受験と高校受験の違いについても理解しておくことが大切です。

1. 偏差値の意味合い

中学受験の偏差値は、受験を目指して準備を重ねている小学生のみに基づいています。そのため、高校受験の偏差値とは異なり、基準となる集団が限定的です。中学受験の偏差値50は、小学生全体を対象とする標準偏差と比べて、実質的に異なる意味を持ちます。偏差値50は中学受験で上位に位置し偏差値40が中間層の数値になっています。

2. 入試問題の特徴

中学受験では、中学校ごとに異なる難易度の問題が出題されることが特徴です。特に難関校の入試は、学校の教科書レベルを超える高度な内容を含むため、合格するには専門的な受験対策が求められます。また、国公立中高一貫校では読解力や表現力を重視した問題が増えており、特化した学習法が必要です。

一方、高校受験は基本的に中学校の教科書の内容が試験範囲に設定されており、標準的な問題を中心に出題されます。私立高校の入試に関しては、教科書を超えるレベルの問題が含まれることもあります。

効果的な勉強法と学年別アプローチ

中学受験においては、科目ごとの学習方法にも工夫が求められます。低学年では、五感を使った体験型学習が有効です。例えば、数に触れる機会を日常生活で増やすことで、計算や数的な理解が深まります。また、親子の会話を通じた語彙力の強化や実験を取り入れた理科の勉強も、学習効果を高める要因になります。

中学受験が向いている家庭の特徴

最後に、中学受験が向いている家庭の特徴をまとめます。

  • 教育方針が明確:将来の進路を見据え、方針が確立されている家庭。たとえば将来子供を医者にする。留学させるなどの明確な目標がある場合はよい環境で勉強に集中させることができます。
  • サポート体制:保護者が子どもの学習や学校選びをサポートできる体制が整っている家庭。中学受験は親の受験ともいわれます。塾に投げっぱなし、子供にまかせっきりでは受かりません。仮に成績が上がったとしてもどこの学校を受けるかどうかは親が導いてあげる必要があります。小学生に行きたい学校を一人で決めろというのは酷です。
  • 金銭的に余裕がある:中高一貫校に通わせる金銭的体力に加えて中学受験塾、大学受験においても塾なしというわけにはいきませんから兄弟がたくさんいる家庭などはあまり中学受験に積極的になれないという背景があります。

共働き家庭でも中学受験は可能?

共働き家庭の場合、受験サポートと仕事を両立するのは難しいことも多いです。多くの場合は母親が勉強を見ることになります。どうしてもできない場合はさらに家庭教師をつけたりもします。十分なサポートが得られる環境であれば中学受験に挑戦する価値があります。しかし夜寝る前まで家庭教師に見させるというのは現実的に難しく親のサポートは必要不可欠になります。

まとめ

中学受験は、子どもの学びの選択肢を広げるための手段の一つです。偏差値や入試の難易度などで高校受験とは異なる特性を持ち、家庭の教育方針や親のサポート体制によって成否が左右されます。最新の傾向を踏まえ、適切な戦略を立てることが大切です。

この記事を書いた人

個別指導型 中学受験専門塾 INSPIRE ACADEMY

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