中学受験と高校・大学受験の偏差値の違い
中学受験と高校・大学受験の偏差値は異なる
中学受験の偏差値と高校・大学受験の偏差値は、同じ基準で考えることはできません。中学受験率は増加傾向にありますが、首都圏でも小学6年生の約20%、全国では約10%程度しか受験しません。中学受験の模試を受けるのは成績上位層が多く、偏差値50は全小学生の中でかなりの上位層になります。
一方、高校受験は中学生のほとんどが受験します。模試を受ける母数が多く、成績上位層から下位層まで含まれます。大学受験も同様で、高校生の約60%が受験します。これにより、高校・大学受験の偏差値50は全中学生・高校生の平均であり、中学受験の偏差値50とは大きく異なります。
中学受験の偏差値50は優秀な生徒
また、高校・大学受験の偏差値は、中学受験者の偏差値よりも高く出る傾向があります。中学受験の偏差値を高校・大学受験の偏差値と同じように考えるのは誤りです。例えば、中学受験の偏差値50の学校に進学する子どもが、大学受験で難関大学に進学するケースは多く見られます。親御さんが高校・大学受験しか経験しておらず偏差値50の成績を取ってきた子どもを叱るなんてケースが多々ありますが中学受験において偏差値50を取ること大変なのです。大体偏差値10~15くらいは低く出ることを理解しましょう。
模試の母体によって変わる偏差値
中学受験の模試は、受験する母体によって偏差値が変わります。例えば、
- 全小学生が受ける公開模試
- 中学受験予定だが、まだ勉強を始めていない小学生も受ける模試
- 中学受験に向けて勉強している小学生が受ける模試
これらの模試では、同じ生徒でも異なる偏差値が出ることがあります。例えば、1の模試で偏差値60、2の模試で偏差値55、3の模試で偏差値40といった具合です。模試を受ける母体が異なるため、正しく比較するには、同じレベルの模試を受け続けることが重要です。
高校受験と中学受験の偏差値の比較
高校受験では、ほとんどの中学生が受験するため、模試の母体は非常に大きいです。令和2年度のデータによれば、高校進学率は98.8%となっています。対して、中学受験をする小学生は全国で約8%、東京で約20%です。中学受験をする母体は成績上位層が集まるため、偏差値40でも上位のレベルと考えられます。
中学受験の偏差値50の意義
中学受験で偏差値50の学校に進学する子どもは、全国の小学生の中で見ても非常に優秀です。この偏差値は高校受験で偏差値60以上に相当すると言われています。実際、中学受験で偏差値50の学校に進学した子どもが、大学受験で慶應義塾大学や早稲田大学といった難関大学に進学するケースも多いです。親が中学受験の偏差値を理解せずに「偏差値50は低い」と考えるのは誤りです。
偏差値56の壁
中学受験で偏差値50も高い壁ですが、偏差値56〜58はさらに高い壁です。偏差値60は模試の母体の上位17%であり、中学受験率が20%とすると、同世代の上位3%に相当します。偏差値56を越えるためには、正答率40%台の問題を確実に解く必要があります。これは全世代の上位8%の能力を持つことを意味し、その難度は非常に高いです。
偏差値表の見方
各塾が出している偏差値表には、合格基準50%や80%偏差値など、様々な種類があります。例えば、四谷大塚なら第一志望校を考える際は50偏差値、併願校を考える際は80偏差値を参照します。小4や小5のうちは目標を高く設定しても構いませんが、小6になったら現実を見て適切な目標設定をすることが重要です。高い目標を目指すためには、それなりの努力が必要であり、その努力の方向性や質を定期的に見直すことが求められます。