中学受験の準備期間に入ると、家族での旅行や外出を控えるご家庭が多く見受けられます。しかし、受験期間中であっても、目的を持った旅行は子どもにとって非常に有意義な経験となります。
6年生の冬には連れて行ってあげられなくても4年生、5年生のうちは旅行に行くことがプラスになります。
中学受験中の旅行は積極的な学びの場になります
受験勉強が本格化すると遊んではいけないという雰囲気が漂いがちですが、旅行に出かけることは決してマイナスにはなりません。むしろ、日々の机に向かう勉強だけでは得られない、実体験を伴う学びの機会となります。
中学受験の学習範囲は多岐にわたり、テキストの文字や写真だけではイメージしにくい事柄も多く含まれます。実際の風景を見たり、その土地の空気を感じたりすることは、知識を立体的に理解する手助けとなります。そのため、受験期間中であっても、積極的に外の世界に触れる機会を持つご家庭も少なくありません。
社会科の知識を深める価値ある旅行
旅行先での体験は、特に社会科の学習と密接に結びついています。観光地を巡ることは、一種の社会科見学としての側面を持っています。
実は理科や国語も旅行と結びつけることができます。今回は最もわかりやすい社会科を例に話を進めます
旅行先で見つかる社会科のテーマ
ポイントは歴史・地理・伝統工芸・食文化・観光業です
- 歴史的な建造物や史跡が作られた背景
- その土地特有の地形や気候といった地理的条件
- 古くから受け継がれてきた伝統工芸品や産業
- 地域の特産物や気候風土を活かした郷土料理などの食文化
- 現在の観光業の成り立ちや地域活性化の様子
例えば、世界遺産に登録されている場所や、特定の伝統工芸が盛んな地域であれば、日本国内のどのような場所であっても、そのまま社会科の生きた教材となります。教科書で暗記した地名や特産品が、目の前にある本物と結びつく瞬間は、子どもにとって強い印象として記憶に残ります。

中学受験頻出の白川郷。どこにあるか覚えにくいけど行っちゃえば覚えやすい
子どもが楽しめることを第一に
旅行に学習要素を取り入れる際、最も大切なのは子ども自身が旅行を心から楽しめる環境であるという事実です。
親の側が勉強の視点を強く持ちすぎると、子どもにとっては旅行先が新たな教室のようになってしまい、窮屈さを感じてしまうことがあります。せっかく旅行に来たのにつまらない。もう行きたくないなんて思わせたら意味がありません。
あくまで主役は楽しい家族旅行であり、その楽しみの延長線上に自然な形で学びの要素が散りばめられている状態が理想的です。子どもが自ら興味を持ったことに対して、知識が少しだけ結びつくような形であれば、子どもも無理なく関心を広げていく傾向にあります。
遊びの中で得た経験が勉強の原動力に
中学受験をするから家族の思い出づくりは諦めなければならないと考えるのは、とても勿体ないことです。実際、学習内容をしっかりと定着させている子どもたちの中には、遊びや日常生活の中で得た経験と、テキストで学んだ知識を上手くリンクさせているケースが多く見られます。
算数のように、どうしても机に向かってじっくりと問題に向き合わざるを得ない科目もあります。一方で、理科や社会といった科目は、日常の風景や旅行先での発見が直接的な理解につながりやすいという特徴を持っています。
理科や社会は面白いという感覚を持つことができれば、それまで義務のように感じていた勉強が、知的好奇心を満たす楽しみへと変化していきます。机上の学習と実体験のバランスが取れることで、中学受験の期間も豊かな家族の時間として過ごすことが可能となります。

世界遺産日光東照宮 1999年に登録