完全中高一貫の私立男子校:東京都市大学付属中学校の特徴!
東京都市大学付属中学校は、高等学校での募集を行わない完全中高一貫の私立男子校です。これにより、生徒は6年間を通じて一貫した教育を受けることができ、高校受験の負担がなく、学習や部活動に集中できる環境が整っています。また、中学から高校に進学する際のカリキュラムの断絶がないため、計画的かつ発展的な学習が可能です。東京大学をはじめ、難関国公立大学や早慶MARCHなどの難関私立大学、医学部医学科への進学実績が高く、毎年多くの生徒が難関大学に合格しています。本記事では、東京都市大学付属中学校の校風やカリキュラム、部活動、入試情報などについて詳しく解説していきます。
1. 東京都市大学付属中学校の教育理念と特徴
東京都市大学付属中学校は、「人間の叡智を信じる」をモットーに、国際社会で活躍できる創造力と行動力を備えた人材の育成を目指しています。教育のさまざまな面で先進的な取り組みを行い、高い大学進学実績を誇っています。
また、「誠実・自主・遵法・協調」の4つを校訓とし、単なる知識の習得にとどまらず、社会に貢献できる人間力を養うことを重視しています。

都市大学付属近くの川沿いには桜が咲き誇る。入学式の後などに写真を撮りに行く家族も多い。しかし男子校ということもあって花に興味のある生徒などおらず特段花見のイベントなどは開催されない。学校の廊下から東宝スタジオが見えゴジラの壁画を拝むことができる。
学習習慣の確立とクラス編成
東京都市大学付属中学校では、学習習慣を確立するために「ACTIO手帳」を活用し、生徒自身が学習計画を立てる能力を養います。
6年間のクラス編成は以下の通りです。
- Ⅰ類:難関国公立大学・早稲田大学・慶應義塾大学などの難関私立大学への現役合格を目指す。
- Ⅱ類:東京大学・京都大学・東京工業大学・一橋大学・国公立医学部などの超難関大学への現役合格を目指す。
Ⅱ類は進度が速く、演習が多いのが特徴です。数学や英語では発展的な問題演習が中心となり、難関大学入試に直結する高度な問題に取り組みます。また、物理や化学では実験や探究活動を通じて、理論の深い理解を促します。高2になると、理系・文系に分かれ、さらに専門的な学習を進めていきます。また、一定の基準に達しない場合はⅡ類からⅠ類へ転類することもあります。
実験を重視した理系教育
理系教育に力を入れており、中学3年間で60種類以上の理科実験を実施しています。学年ごとに以下のような実験が行われます。
- 1年生:生物
- 2年生:化学
- 3年生:物理
また、大学入試を意識した高度な実験を行うため、実験の際にはクラスを2分割して少人数で取り組みます。付属の東京都市大学が理工系の大学であることからこちらも理系教育に力を注いでいます。かつては東京都市大学への(武蔵工業大学)エスカレーター進学も多かったことに加え男子校という側面も相まって文理選択でも理系が圧倒的に多く学校としても理系信仰が強かった。近年でも理系に進む生徒が多いが都市大学付属の偏差値上昇もあり東京都市大学への進学を考える生徒が少なくなりそもそも推薦を取るかもという考えがないため文系選択も多くなっています。
東京都市大学付属高等学校から東京都市大学へ内部推薦
東京都市大学付属高等学校から東京都市大学へ内部進学するためには、付属進学制度を利用する必要があります。いくつかの条件を満たすと取ることができる。専願の場合はさほど難しくなく出席や提出物をしっかりこなしていれば推薦を貰うことができます。
原則専願になっているが国公立大学前期入試および都市大学が認めた私立大学の併願入試が可能という特殊なシステムがあり全落ちしても都市大に行けるという魅力的な推薦方式もある。成城学園などでもあるシステムであるが違いは都市大は理工系が強いため文系の人はこのシステムは使えない、文系しかない成城学園とは真逆。(一部東横学園女子短期大学を合併し総合大学になったときにできたメディア情報学部、環境学部、都市生活学部、人間科学部の4つが文系でも選べます。しかし普通の文系の学科はないことと偏差値も都市大付属の生徒にとっては物足りないことからあまり人気はありません。)
しかしこのシステムでは浪人をすることはできず受験した学校に落ちれば東京都市大学に進学しなければいけません。利用した受験生にもどうしても気の緩みが起こることからあまりこの推薦を用いた場合の合格実績は芳しくありません。学校としても進めるどころか推薦の利用を止めてくる勢いがあります。また学校指定の大学しか受けられないということも受験の難しさを助長しています。本来はすべり止めや練習校を含めながら受験をしますがそういった学校は対象外のことが多いため、うまく受験をプランニングできません。
実際中学受験時点で偏差値60を超える子であれば大学が都市大どまりになってしまうのは勿体ないと言えるため生徒や保護者たちもあまり推薦を意識していません。付属校にはいったから大学は推薦でという感覚はなく進学校としての理解をして入学しています。もちろん都市大も理工系の偏差値はMARCHと肩を並べるレベルであり、そこを滑り止めにできるのは魅力的な制度であるため一定数の利用はあります。建築学部や原子力学部など力のある学科も多く存在します。ただやはり現役で都市大に行くくらいなら浪人してでもさらにいい大学へという雰囲気に加え、男子校ということもあってかあまり浪人を恐れてないこともあり積極的に推薦を取るという人は少なくなっています。
キャリア教育と体験学習
中学2年では農村での民泊体験や、中学3年で企業研修を実施し、「働くとは何か」を考える機会を提供しています。また、高校1年では中期修了論文(4000字)に取り組み、自分の興味・関心を深めます。過去には人工知能の倫理や宇宙開発の未来、持続可能なエネルギー政策など多岐にわたるテーマが扱われており、論理的思考力や探究心を養う貴重な機会となっています。
国際交流プログラム
- 中学3年:マレーシア異文化体験(10日間)
- 中学3年:ニュージーランドターム留学(3学期)
- 高校1年:ニュージーランド語学研修(3週間)
いずれも希望制で、希望者は全員参加可能です。また、帰国生40名ほどを受け入れており、国際的な視野を広げる環境が整っています。
2. 部活動と学校生活
東京都市大学付属中学校では、運動部33、文化部19と多彩な部活動があり、アイスホッケー部や少林寺拳法部などの珍しい部活動もあります。特に、アイスホッケー部は全国大会出場経験があり、強豪として知られています。また、囲碁・将棋部も全国レベルの実力を誇り、多くの大会で好成績を収めています。
学校の雰囲気は自由でおおらかであり、運動好きの生徒からインドア派の生徒まで、それぞれに合った活動ができる環境が整っています。ただしプールがないため水泳の授業がありません。水泳部はありますが校外の施設を借りて練習しています。カナヅチでプールがないからここがいいという子もいます。
グラウンドは全面人工芝を採用。体育館の他にアルママタホールという全校集会ができる場所もありこちらでも部活や体育の授業が行われており運動する環境は整っている。ただし人工芝は照り返しが強いため真夏は灼熱、雪が降ると使用禁止になるなどやや制限もあります。
ちなみに「アルママタ」とはラテン語で「母校」を意味しています。校章である柏から柏ホールと名付けるはずだったがすでに同様の施設が千葉県柏市にあるということでアルママタにしたという逸話があります。ただし校章として定着していた柏マークも一部制服に残るのみで校名が武蔵工業大学付属から東京都市大学付属に変わったときにほとんど変更されてしまいました。部活のユニホームなどにも柏が入ることが定番でしたが今は大学側から東京都市大の名前とマークを売り出したいという意向に逆らえず新しいロゴを入れています。

全面人工芝のグラウンドが完備(画像はイメージで東京都市大学付属のものではありません。)
進学校でありながら部活動も盛んなのが特徴。しかし週に3回までという制限が設けられており逆に毎日やりたくてもできません。(自主練と称して生徒が勝手に集まってやることはいくらでも可能)。週3回までというシステムを逆手にとって部活日の被らない部活を掛け持ちする生徒が多いことも特徴です。月水金は運動部、火木土は文化部などと行った幅広い楽しみ方もできます。
試験前は全面部活は禁止になります。一部大会前の場合のみ練習が認められますが試験前は原則自主練も禁止されます。
男子校でありながら文化部も非常に盛んであり学園祭である柏苑祭は文化部を中心に非常に盛り上がります。特に文化部は中学生から高校生と一緒に活動するため刺激も多いです。鉄道研究部はかなり力を入れて展示を行っているため人気でこの部活に入りたくて都市大付属を受験したという子も多いです。顧問も本気でやっているため喜怒哀楽がよく出ます。昨今部活動をやる余力のない学校も増えている中で教員にこういった熱があるのはいいことなのかもしれません。男子しかいない吹奏楽部も迫力があり人気があります。また完全中高一貫校ですが中学にはなく高校から始まる部活もいくつか存在しています。
武蔵工大付属時代はむさこうという略称が公式に用いられていましたが東京都市大付属になってからは特にありません。むさこうから影響を受け、としこうといわれることも多いですがこうは高校の高なので中学に適用できず浸透はイマイチ。(一応HPではトシコーとして紹介されている)とうとしもゴロが悪すぎるためか採用されず、大学に引っ張られとしだいと呼ばれることが多くなっています。
東急系の五島育英会傘下にある学校であり幼稚園から小学校、大学まですべて都市大グループがあります。小学校からのエスカレーター進学も数名いますがほぼありません。早慶やMARCHの付属校のようにエスカレーター進学で大学まで生涯共に過ごすという生徒はあまりおらず小学校も高校も都市大に留まらずさらに上の学校へ!という進学校気質。経営母体である東急グループともあまり接点はなく良くも悪くもしがらみのないサッパリした校風と言えます。卒業パーティーをセルリアンタワー東急ホテルでリッチにやれるとき以外全く東急の素振りもみせません。
また映画監督の周防正行やジャニーズ菊池風磨のアルママタとしても知られています。
3. 入試情報と偏差値
入試日程
- 第一回:2月1日午前(4教科)
- 第二回:2月1日午後(国・算 2教科 各100点)
- 第三回:2月3日午前(4教科)
- 第四回:2月5日午前(4教科)
第一回・第三回・第四回は国語・算数100点、理科・社会75点で構成されています。以前に比べると配点は下がったものの理社の配点が高め。中学受験のスタートが遅く理社が完成していない受験生や理社の暗記分野が苦手な受験生は苦戦を強いられるでしょう。
かつては2月1日にの午前に受験はなく、2日がメインでしたが偏差値の急上昇を受け2月1日に試験を開催することになりました。
入試の特徴
- 偏差値:四谷大塚で54〜61。
- 入試難易度:
- 2月1日午前:最も志望度が高く競争率が激しい。御三家と競合するほどのレベルではないため第一志望の子はこの日から受け始めます。
- 2月1日午後:難関校志望層が多く受験し倍率は低めだが、合格は難しい。
- 2月3日・5日:トップ層が少なく倍率は高いが、比較的合格しやすい。ただし上位校の滑り止めの役割を果たしているのでライバルはかなり強く偏差値も高い。
- 2月1日午前に試験をやるようになったことからも都市大付属の人気急上昇が実績として伺える。
- 受験料:25,000円で受け放題。
しかも一度受験していれば他の日に飛び込みで行っても受験ができます。思っていた結果を残せず泣きながら都市大付属に当日駆け込んでもしっかり対応してくれる上に追加のお金もかからない。さすが東急系なだけあり余裕と懐の深さを感じられる。 - 午後入試:2月1日に実施。開始時間を2回設定(15:10~ / 16:00~)し、柔軟な対応が可能。
教科ごとの対策
- 国語:詩が頻出。語彙や表現技法の理解が必要。
- 算数:基礎力が重要。計算ミスが致命的。
- 理科:天体観察や実験に関する問題が多い。
- 社会:地理・歴史・公民がバランス良く出題。時事問題も要対策。
配点が高いため理社がしっかりと出来ていないと合格は難しくなります。5年生から始めて理社が完成しきっていない子は苦戦するでしょう。
4. まとめ
東京都市大学付属中学校は、高い学習環境と自由な校風を併せ持つ学校です。理系教育や国際交流プログラム、キャリア教育が充実しており、多様な経験を積むことができます。
また、入試は比較的挑戦しやすいものの、近年人気が高まっており競争率が上がっています。特に2月1日午前の第一回試験は志望度が高い受験生が多く、最も競争率が激しくなっています。一方で、2月1日午後の第二回試験は倍率が比較的低めですが、難関校志望者が多く合格は難しい傾向にあります。2月3日・5日の試験は倍率は高めですが、トップ層の受験生が少ないため比較的合格しやすいと言われています。特に算数の基礎力を固め、各教科のバランスを意識した学習が重要です。
中学受験を検討している方は、ぜひ東京都市大学付属中学校の魅力を知り、志望校選びの参考にしてください!