神奈川県の中学受験が一番難しい?一月受験ですべり止めを作れない

神奈川県の1月校受験と中学受験事情:効率的な戦略と背景分析

中学受験を考える家庭にとって、神奈川県の1月受験は特殊な位置づけにあります。埼玉県や千葉県のように1月から主要校の入試が始まる地域とは異なり、神奈川県では一般的に2月1日から入試が行われます。この特徴を踏まえ、神奈川県の受験事情を深掘りしつつ、効率的な戦略について説明していきます。


1. 神奈川県におけるお試し受験:1月校受験の実態

神奈川県民の1月受験はすべり止めとして使える前受け校がほとんど存在しない

神奈川県内では1月に通学可能な受験校がほとんどありません。そのため、1月の受験は「前受け」という位置づけとなり、神奈川県在住の多くの家庭が埼玉県や千葉県の学校を受験します。要はただの模試になってしまうわけです。東京在住ならば埼玉の栄東や立教新座などすべり止めとして遜色ない学校に自宅から通学可能です。特に埼玉は受験開始も早い上に進学校、MARCH付属校などバリエーションも豊富で好条件が揃っています。

渋幕は神奈川に比較的近いが…

また首都圏(23区内)であれば千葉県の御三家である**渋谷教育学園幕張中学校(渋幕)**を前受け校とする選択肢があります。さすがに多摩地域から千葉への通学は現実的ではないですが。同様に、神奈川県から渋幕を受験する家庭は少ないのが実情です。その理由として、以下の要素が挙げられます。

  1. 通学の難しさ:神奈川から通うとして最も現実的な学校は渋幕ですが、渋幕は千葉県の海浜幕張駅周辺に位置しており、神奈川県から通学するには長時間の移動が必要です。とくに横浜より奥に住んでいる場合はほぼ通学は不可能です。また埼玉の学校も浦和や大宮に多くどちらも神奈川から通うのは現実的ではありません。相模原在住者が立教新座に通うくらいであればギリギリ可能と言えます。それでも一時間半はかかりますが。
  2. 本命校の準備期間の邪魔に:渋幕受験日が本命校の1週間前に重なることも多く、負担を避けるため見送る家庭が多いです。渋幕は超難関校なので通えないお試し受験校としては相性が悪いのです。
  3. 渋幕は偏差値が高すぎる:神奈川県の御三家や東京の人気校を本命とする受験生の多くが、渋幕の受験を選ばないため、心理的な影響も少なからずあります。はっきり言って偏差値が高すぎるため東京や神奈川の御三家に受かる人も渋幕は落ちるなんてこともよくあります。なので本番前に通えもしない学校で自信を失うだけになるため敬遠されます。

2. 神奈川県の中学受験の特徴

① 東京と同じ2月1日から始まる入試日程

神奈川県の私立中学校の一般入試は東京都と同様に2月1日から一斉に始まります。一方で、埼玉県や千葉県では1月中旬から入試が始まり、その時点で合格を得られる場合もあるため、これらの県を「前受け」として利用することが多いです。神奈川からの受験生はホテルに前泊する人も多くその時点で通うことは視野に入っていません。

② 私鉄沿線ごとに異なる受験熱

神奈川県内の中学受験熱は、沿線ごとに特徴があります。特に東急東横線田園都市線沿線では教育熱が高く、私立中学を志望する家庭が多い傾向にあります。高級住宅地も多く東京で働く高収入世帯のベットタウンとしての位置柄もあり子供への投資も積極的と言えます。

  • 東横線沿線:渋谷から横浜を結ぶ東横線は、高級住宅地が多く、中学受験を重視する家庭が集まっています。
  • 田園都市線沿線:新興住宅地が多く、たまプラーザや二子玉川などのエリアは教育熱心な家庭が多いことで知られています。

立地的に東京へ出やすいことは勿論、ですが逆に神奈川には通いにくい地域でもあります。神奈川県の進学校(高校)というと湘南高校〔藤沢市〕、横浜翠嵐高校〔横浜市〕、横須賀高校、小田原高校などどこも東急沿線からは通いにくいエリアばかり。なので最初から中学受験で東京のいい学校にいけばいい。そう考える人が多いのは自然なことです。

③ 交通アクセスの整備による変化

近年、鉄道交通網が整備されたことにより、神奈川県在住の受験生が東京都や埼玉県、千葉県の中学校を受験するケースが増えています。その逆もまた然りで、他県の生徒が神奈川県内の中学校を志望校にすることも一般的になりました。ただやはり6年間通う学校ですし、中学生の時はまだまだ小さい子供。あまり遠くに通わせるのは好まれません。


3. では神奈川県受験生の1月受験戦略はどうするのか

前受け校の選択肢:埼玉と千葉

神奈川県の受験生も結局は1月に埼玉県や千葉県の中学校を受験するほうがいいでしょう。これには以下のような理由があります。

  1. 実力を試す機会:1月受験は「本番の練習」として位置づけられることが多く、模試の延長線上で自分の実力を確認する目的があります。初めての受験は緊張します。たとえ通わないとしても経験値を積むためにどこか一つは受けるべきでしょう。
  2. 合格の保険:1月の段階で合格を得られれば、2月の本命校受験に対する心理的余裕が生まれます。が神奈川県民はあまり保険にはならないでしょう。
  3. 埼玉と千葉はどちらがいい?:好みの班中ですがやはり千葉より10日早く始まる埼玉がおすすめ。千葉の受験では立て直し期間が取れません。通わない学校の受験としてはリスクに対してのリターンがありません。
  4. どうせ行かないのにハイレベル校を受けるべき?:高確率で行かない場合は自分の偏差値と同じレベルの学校を受けるといいでしょう。やや下でも可です。子供のタイプによります。合格で安心してしまうタイプは難しいところを受けてもいいですが不合格ばかりで不安が募るようならば受かる学校を受けるのも戦略です。本番は2月ですから。

埼玉の主要前受け校

  • 栄東中学校(東大クラス)
  • 開智中学校
  • 浦和明の星女子中学校(女子校)

千葉の主要前受け校

  • 渋谷教育学園幕張中学校(渋幕)
  • 市川中学校
  • 東邦大学付属東邦中学校

これらは千葉の御三家です。

前受け校選びのポイント

  • 自宅からのアクセスを考慮する。場合によってはホテル宿泊も検討。
  • 本命校と出題傾向が似ている学校を選ぶ。
  • 本命校の試験日から余裕のある日程を組む。

4. 神奈川県の本命校と受験事情

神奈川県の中学受験事情は、東京都に近いことから東京の人気校と併願するケースが多いのが特徴です。また、県内には神奈川御三家と呼ばれるトップ校が存在し、多くの受験生が志望校に挙げます。

神奈川御三家

  1. 栄光学園中学校(男子校)
    • 偏差値:70前後
    • カトリック系の伝統校で、東大・医学部進学者が多い。
  2. 聖光学院中学校(男子校)
    • 偏差値:72前後
    • 中高一貫の進学校で、リーダーシップ教育にも注力。
  3. フェリス女学院中学校(女子校)
    • 偏差値:68前後
    • 横浜の歴史ある女子校で、文武両道の校風が魅力。

交通アクセスと進学動向

神奈川県内の中学校は、都内の中学校と比較するとアクセスの良さが大きな強みです。多くの学校がJRや私鉄の駅近くに立地しており、通学の利便性が志望動機の一つとなっています。


5. 今後の中学受験と家庭での準備

神奈川県民ならではの受験プラン

鉄道網の発展により、県境を越えた受験が一般化しているとはいえ限界はあります。おそらく大手の予備校でもあまり千葉、埼玉の受験はお試し受験でしか進められません。あくまで2月が本番と捉え1月は模試、2月で決めると考えておけばいいでしょう。

1月受験を有効活用するために

  • 過去問演習:1月校の過去問に早めに取り組み、試験形式に慣れる。通わない学校でも無対策で受けることはやめましょう。
  • 試験の結果分析:1月受験で得られるデータをもとに、2月本命校の対策をブラッシュアップする。問題の解きなおしをしっかりやって1月受験を無駄にしないようにしましょう。

まとめ

やはり現実として神奈川県の1月校受験は、前受け校がほとんど存在しない特殊な状況にあります。そのため、埼玉県や千葉県の学校を受験するケースが一般的です。受験戦略を立てる際には、自宅からのアクセスや試験日程、本命校との相性を考慮することが重要です。

また、2月1日から始まる神奈川県の本命校受験に向けて、1月受験を実力試しの機会として活用することで、合格の可能性を高めることができます。神奈川県の中学受験事情を十分に理解し、効率的な準備を進めましょう。

この記事を書いた人

個別指導型 中学受験専門塾 INSPIRE ACADEMY

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