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2025年度中学受験の動向:男女御三家の志願者が減少
中学受験者数の全体的な傾向
2025年度の首都圏中学受験者数は、前年並みの高水準を維持しました。しかし、難関校の志願者数は減少傾向が顕著であり、中堅以下の学校の人気が高まる傾向が見られました。特に、大学附属校や特色のある教育を提供する学校が志願者数を増やしていることが特徴的です。
男女御三家の志願者数減少
首都圏の難関校を象徴する「御三家」と呼ばれる学校群も、志願者数を減らす結果となりました。東京の男子御三家(開成・麻布・武蔵)および女子御三家(桜蔭・女子学院・雙葉)のすべての学校で前年より志願者数が減少しました。
男子御三家の志願者数は以下の通りです。
- 開成:1259人 → 1234人
- 麻布:826人 → 761人
- 武蔵:546人 → 518人
女子御三家の志願者数は以下の通りです。
- 桜蔭:591人 → 542人
- 女子学院:708人 → 706人
- 雙葉:399人 → 389人
しかしこの傾向は、難関校へのチャレンジ志向の弱まりではなく、学校選択の多様化が進んでいることを示していると考えられます。

難関校離れの背景
- 大学附属校の人気の高まり 近年、内部進学率の高い大学附属校が人気を集めています。中学・高校ともに学習指導要領に即した授業が行われるため、進学校に比べてゆとりのある学習環境が整っています。さらに、大学の授業を受けて単位を取得できる制度を導入している学校もあり、保護者からの評価が高まっています。また昨今大学入試に変更が相次いでいることもありそういった点でも大学受験に変更がある前に大学を決めてしまいたいという狙いが垣間見えます。
- 進学校の魅力の変化 これまで御三家といえば、東大をはじめとする難関大学への進学実績が魅力とされてきました。しかし、近年では海城、鷗友学園女子、渋谷教育渋谷といった進学校の人気が高まっています。また、東大合格者数では開成を除くと、駒場東邦や海城の方が上位に来る年もあり、進学実績の面でも変化が見られます。
- 放任スタイル:御三家への不安 御三家の一部は「放任主義」の校風が強く、「自由な環境が合わないと伸び悩む」といった不安を抱える家庭もあります。共働き世帯の増加により、親が子どもの学習管理に割く時間が限られるため、「サポートが手厚い進学校」への志向が強まっている可能性もあります。
中堅校の台頭
難関校志望者の減少とは対照的に、中堅校の受験者数は増加傾向にあります。特に、特色のある教育を提供する学校が人気を集めています。
例:特色のある中堅校の志願者増加
- 東京農業大学第一中学校:農業大学との連携による総合学習や理科教育が注目され、前年より249名増加(倍率14.7倍)。
- 佼成学園中学校:ICTを活用した英語教育やグローバル教育を重視し、一時的な減少は見られたものの依然として高い人気を維持。
また、公立中高一貫校も依然として高い人気を誇り、東京都の都立中高一貫校の倍率は4.03倍と高水準を維持しています。
学費無償化の影響
2026年度から、私立高校の授業料支援が拡充され、東京都ではすでに私立高校の授業料が実質無償化されています。このため、中高一貫の私立校でも、中学3年間の学費負担のみとなることから、経済的なハードルが下がり、志願者数の変動に影響を与えています。
まとめ
2025年度の中学受験では、難関校の志願者数減少、中堅校や大学附属校の人気上昇が顕著でした。背景には、
- 教育の多様化による学校選択の幅の広がり
- 大学附属校の魅力の再認識
- 御三家の自由な校風に対する懸念
- 公立中高一貫校・私立校の学費無償化の影響 などが挙げられます。
これからの中学受験では、「志望校の偏差値」だけでなく、「子どもに合った教育環境かどうか」を重視する家庭が増えると考えられます。受験生本人の適性や希望をしっかりと見極めることが、今後ますます重要になってくるでしょう。