小学生の受験サポート:適度な支援とそのバランス
小学生の受験には、親の適度なサポートが不可欠です。しかし、子どものことを一生懸命考え、応援しているがゆえにどれくらいがちょうどいいのかがわからなくなってしまうこともあるのではないでしょうか。行き過ぎたサポートが成績だけでなく親子関係にまで悪影響を及ぼしかねないのが、中学受験の難しいところです。ここでは、やる気を出して欲しいとき、成績をもっと伸ばしてほしいときなどにやってしまいがちなことをまとめました。これらを意識することで「行き過ぎ」サポートを予防していきましょう。
1. 点数よりも学習内容に注目する
テストの点数が悪いのは保護者としてはとても気になることだと思います。しかし、小学6年生以前のお子さんには点数のことは気にかけさせる必要はありません。プレッシャーを与えすぎて点数を意識すると、テスト時にカンニングなどの不正を行ってしまうことがあります。もちろん子供の人間性の問題なのでそんなことしない子供もたくさんいます。しかし親に怒られるという恐怖感が勝り無意味な防衛行動をとってしまうことが小学生レベルではまま起こりえます。保護者の方が見るべきは点数ではなく試験でどこが出来て、どこが間違っているのかを見定めてください。
2. 比較は過去の自分と:他人と比べない
比較することは分析の基本で大人は隙あらば比較します。しかし中学受験において何と比較するかを間違えると、分析結果も間違ったものになってしまいます。お友達や兄弟との比較は、お子さんを余計に落ち込ませてしまう上に、保護者の方もお子さん自身の現状を正しく捉えられなくなってしまいます。他の子と比較するとできていないところに目がいきがちです。現在のお子さんと過去のお子さんを比較すると、どこが出来るようになったかに自然と目が向いて親子ともに前向きになれます。とくにお兄ちゃん、お姉ちゃんはできていたのにというしかり方は一番簡単でやりがちなしかり方ですが同じ親から生まれていても兄弟で差はあるものです。やる気がなくなってしまっては元も子もないので比較して叱ることはやめましょう。
3. 感情的に怒るのを避ける
お子さんが全然勉強していないように見えてしまい、ついイライラして怒ってしまうことがあります。怒りたくなるのはお子さんのことを心配しているからなのですが、なるべく怒りの感情はぐっと我慢するようにしてください。保護者の方の目には勉強していないように見えても、お子さん本人は一生懸命勉強しているつもりであることがあります。これを心にとめて、お子さんの姿を冷静に見直してみてください。どうしてもイライラを抑えられない時は、塾の窓口に相談に訪れてください。塾職員がお話を伺ってアドバイスをさせていただけますし、人に話すことでお子さんに怒りをぶつける前に冷静さを取り戻すことができます。
4. 距離を保つ
親子関係は近すぎると衝突します。特に中学受験においては。先生タイプは子どもと物理的な距離、精神的な距離をとることが必要です。そうでないと、子どもは常に親の顔を伺うようになり、自由な発想が苦手な臆病な子になってしまいがちです。子どものマイナス点を見つけて矯正するのではなく、認められるところを探して、認めることを続けると、それがやがて子どもの自信や好奇心のもとに育っていきます。

中学受験で失敗させない工夫
完璧を求めない
入試問題は100点を取らせないように作問されています。1科目およそ60点程度が合格ラインです。ですから模試も高得点を目ざす必要はありません。それよりも返却された模試において、受験者正答率が80%以上の問題で、正解できなかった問題をできるように復習しておくことが大切です。親がすることがあるとしたら、その受験者正答率が80%以上の問題のチェックと、塾の宿題を終えたか、確認テストの勉強を済ませたかということの確認くらいです。それ以外のチェックは塾の講師に任せてしまった方がうまくいきます。
親が無理に教えない!子ども自身に考えさせる
子どもの隣に座って学習内容を教えるのは意外と子どものためになりません。一生懸命説明してくれている親の期待に添おうとして、子どもはわからなくてもわかったふりをしがちですし、わかったとしてもその知識はすぐに忘れてしまうものです。知識として定着するのは自分で考えて、自分で答えを出したその過程のみです。あまりに教えすぎると教わるクセがついてしまいます。こうtなると自分で問題を解く力がなくなり試験など一人ですべて出し切らないといけない場面で結果が残せません。
また、勉強の醍醐味は一見わからなさそうなことが、自分で考えて正解にたどりつけたときの瞬間にあります。親が解き方や答えを教えてしまうと、勉強をつまらないものにさせてしまいかねません。教えないで、ヒントを与えて子ども自身に気づかせるのがうまい働きかけです。
目標は本人に立てさせる
子どもはいくら人に言われても本心から納得しなければ、本気で行動に移すことはしません。目標はまず子どもに立てさせ、親はその目標を現実的に達成可能なものになるように調整するサポート役に徹するのがいいでしょう。お母さんがわが子の前を走って手を無理矢理引っ張るよりも、背中をそっと押してあげるスタンスが中学受験を成功に導きます。
宿題などで答えを教えてしまう
前述しましたが答えを簡単に教えることがよくないことであり、お子さんの隣で勉強の様子を見守るのは良いことです。具体的には解き方から答えまで全て教えてしまわないこと。すぐ答えを教えてしまうと、お子さんが自分自身で考えない癖がついてしまいます。保護者の方が勉強について教えるとしたら、ヒントを与えるにとどめておき、後はお子さん自身で答えを出させるようにしましょう。例えば問題文を声に出して読ませたりすると、どこがわかっていないのか、問題の読み間違えをしていないか等がわかることがあります。あくまでサポート的なアプローチを心がけ気づいたところをお子さんに教えてあげると、良いヒントになります。
オープンキャンパスで実際に行く志望校探しと逃げ道の確保
あらかじめ保護者がある程度志望校を絞って見学させるのも良いですが、小学校低学年で時間に余裕がある時期から志望校探しをするなら、積極的に中学校に足を運ぶようにしましょう。共学や別学の学校も絞ることなくどちらも見せるようにし、学校も都心にある学校と郊外にある学校など、様々なタイプを見ることで次第に好みが出てくるでしょう。