中学受験は、都市部では一般的になりつつあります。しかし学習内容が小学校の範囲を大きく超えたものであり、通常の小学生にとっては大きな負担となることも少なくありません。こうした負荷を乗り越えることで得られるメリットについて考察してみましょう。
メリット①:個性に合った学校を選べる
私立中学の大きな魅力の一つは、その学校ごとの個性や特色です。制服が無く自由な校風を持つ学校から、厳格な規則があり、学業に厳しい学校まで、さまざまな選択肢があります。また、国際教育に力を入れている学校や、大学の研究室並みの設備を持つ理系に強い学校もあり、子どもの興味や性格に合った学校を選ぶことが可能です。
さらに、同じレベルの学力を持つ生徒が集まるため、上位校ではハイレベルな授業が展開される一方、中堅校では少人数クラスでのきめ細やかな指導が行われることが多いです。特に、学校の授業に物足りなさを感じている子どもにとっては、充実した学びの環境が整っていると言えるでしょう。
特に地元の中学の治安が悪い(校風が)場合はおおきくプラスに働きます。生徒は3年で入れ替わるとはいえ中学校風は年によってあまり変わることはありません。一方中学受験で生徒を集める中学は悪評が広まれば生徒を集めることや偏差値上下に影響を及ぼすため環境づくりに余念がありません。そういったところでは安心できるポイントと言えます。
メリット②:難関校への進学機会が増える
中学受験を経ることで、難関校への進学の選択肢が広がります。首都圏では、男子御三家(開成、麻布、武蔵)や女子御三家(桜蔭、女子学院、雙葉)などの私立中学が最難関校として知られています。これらの学校は、高校からの募集が少ないため、中学受験を通じてしか入学の機会がないことが多いです。
また、国立や都立の中高一貫校でも、同様に中学受験での合格が高校進学のカギとなります。特に、都立の一貫校は学費が安く、人気がありますが、ここでも中学受験が重要な役割を果たします。
また全員が難関校に進学するので親がそちらにそそのかさなくとも勝手に難関大学への進学を本人が希望してくれるという点で親の負担は少なくなります。
メリット③:客観的な評価が得られる
中学受験は、試験の結果が重視されるため、当日の学力によってほぼ合否が決まります。内申点が大きなウェイトを占める公立高校入試とは異なり、面接や調査書の提出が求められる場合もあるものの、基本的には学力試験の結果が重視されます。そのため、学力に自信があるものの、他の面でのアピールが苦手な生徒にとっては、中学受験が最も実力を発揮しやすい場となります。

デメリット①:優等生が「普通」になるプレッシャー
しかし、中学受験にはデメリットも存在します。最難関校に進学した場合、小学校でトップだった生徒たちが一堂に会します。その中には、飛び抜けた才能を持ちフューチャーされていた児童も少なくありません。これまで自分を天才と思っていた子どもが、突如として凡人と感じるようになり、劣等感を抱くこともあります。客観的に見ればトップ校で下に位置しても立派な地位であるのですが小さな水槽の中でそのことに気づくことは難解でしょう。その結果中学入学時点で高い志を持っていた生徒が、自己否定に陥り、成績が下降することも少なくありません。
デメリット②:過度な学習負担が原因の勉強嫌い
中学受験で問われる内容は小学校の学習範囲を大きく超えるため、特に大手塾のカリキュラムについていくのは容易ではありません。上位層向けに設計されたカリキュラムに遅れを感じ始めると、学習が楽しくなくなり、苦痛に感じることがあります。特に、成績が伸び悩むとモチベーションが低下し、最悪の場合、勉強そのものを嫌いになってしまう可能性もあります。親のサポートが重要ですが、過度に介入することで子どもを追い詰めてしまうリスクもあります。
デメリット③:親の負担と子どもへの影響
中学受験をサポートする親にとって、塾の送迎や学校説明会の参加、学習スケジュールの管理など、肉体的・精神的な負担が大きくなります。また、親が受験に熱心になるあまり、結果に過剰な期待をかけることで、子どもがプレッシャーを感じることも少なくありません。特に、模試の結果に一喜一憂し、他の子どもと比較されることで、自信を失うことがあります。
まとめ:中学受験を子どもの将来の一環と考える
中学受験は、子どもの成長にとって一大プロジェクトです。過酷な挑戦ではありますが、その過程を通じて得られる成長は計り知れません。しかし、受験はあくまで子どもの人生の一部であり、親としては冷静に判断し、子どもが将来どのように成長していくかを見据えたサポートが重要です。中学受験はゴールではなく、新たなスタートラインであることを忘れずに、長い目で子どもの成長を見守っていくことが求められます。