中学受験における「1月校お試し受験」の意義と注意点

中学受験における「1月校お試し受験」の意義と注意点

中学受験における「1月校お試し受験」は、首都圏の入試を目指す多くの家庭が採用している戦略の一つです。この受験スタイルは、2月1日から本格的に始まる東京・神奈川の中学入試に向けた「予行演習」として位置付けられています。お試し受験とは何か、その意義や注意点について詳しく解説します。


「1月校お試し受験」とは?

「1月校お試し受験」は、埼玉や千葉、地方の学校が1月に行う入試を活用して、2月本番に備える受験方法を指します。東京と神奈川では2月1日が入試の解禁日とされ、多くの受験生が第一志望とする学校がこの日に試験を実施します。お試し受験の目的は、入試本番の雰囲気を事前に体感し、緊張を和らげたりシミュレーションをしたりすることにあります。

例えば、埼玉県の栄東中学校の入試では、1月中旬に複数回の試験が行われ、延べ1万2千人以上の受験生が集まります。この大勢の受験生の中には、本番の予行演習として受験する生徒が多く含まれています。このような受験が一般化した背景には、30年ほど前からの中学受験文化の発展があります。


お試し受験のメリット

お試し受験を行うことで得られる利点には以下のようなものがあります。

1. 本番の緊張感を事前に体験できる

初めての本格的な試験に直面する際、受験生は想像以上に緊張するものです。1月のお試し受験はその緊張を和らげるための絶好の機会となります。入試会場の雰囲気や大人数の中で試験を受ける体験は、2月本番で落ち着いて試験に臨むための助けとなります。

2. 起床や移動の習慣づけ

埼玉や千葉の学校を受験する場合、神奈川や東京からは早朝に出発する必要があります。このような早起きや長時間の移動は負担が大きい一方で、2月本番を迎える準備として有益です。長時間の移動を経験することで、比較的近場で行われる2月の試験では心理的な余裕を持つことができます。

3. 自信をつける機会

合格という結果を得ることで、受験生の自信を高める効果があります。たとえ「お試し」という位置付けでも、合格通知を受け取る経験は、受験生にとって精神的な支えとなることが多いです。


お試し受験の注意点

一方で、お試し受験にはいくつかの注意点もあります。家庭でこれらのリスクを理解し、慎重に計画を立てることが重要です。

1. 不合格のリスク

お試し受験といえども、必ずしも全員が合格するわけではありません。むしろ首都圏の生徒が一気に押し寄せるため埼玉千葉が第一志望の受験生は2月に行われる受験の時よりも苦戦を強いられます。不合格が精神的なショックにつながり、本番のモチベーションに悪影響を与える場合もあります。そのため、合格の可能性が高い学校を選ぶことが重要です。

2. 体調管理

1月は寒さが厳しく、風邪やインフルエンザ、近年ではコロナウイルスの流行も懸念されます。特に朝早く起きて遠方の試験会場へ移動する場合、体調を崩すリスクが高まります。家庭内での体調管理や当日の移動計画に十分な配慮が求められます。また試験会場には多くの受験生が集まります。中学受験はその特性上親も受験が終わるのを待っていなければなりません。その時に待たされる場所が暖房の効いていない体育館なんてこともしばしば。親のほうが風邪をひいてしまうのもよくある話です。そんなことをしている暇はありません。親もしっかりと防寒対策をしていってください。

3. 過剰な受験は避ける

1月に3校以上受験することはおすすめできません。連日の受験は勉強時間の確保が難しくなり、疲労や感染症のリスクが増します。多くの場合、1月校は1~2校に絞るのが理想的です。埼玉近隣の家庭は10日から始まるため余裕がありますが千葉は20日から始まるため、あまり受験日程に余裕がありません。立て直しのことを考えても2校が限度。埼玉受験で3校といったところでしょう。


学校選びのポイント

1月校として受験する学校は、合格可能性が高い学校を選ぶのが基本です。これは、1月から2月にかけての短期間では、不合格のダメージから回復する時間的余裕が限られているためです。

また、家庭の教育方針や子どもの適性に合った学校を選ぶことも大切です。一部の受験生は、お試し受験で合格した場合でも通学可能な学校を選びます。例えば、市川中学校や渋谷教育学園幕張中学校(千葉)、栄東中学校(埼玉)、立教新座中学校(埼玉)などは、東京や神奈川の生徒にも通学圏内であり、大学進学実績や教育方針が評価されています。特に立教新座は隣の市が東京なので多摩地域の受験生から高い人気を誇ります。


お試し受験が不要な場合も

お試し受験がすべての家庭に必要とは限りません。子どもの性格や状況によっては、1月に受験せず2月本番に集中する方が良い場合もあります。例えば、1月に合格することで気が緩み本番で失敗する可能性がある場合、1月校の受験は避けたほうが良いでしょう。


万が一の不合格時の対応

お試し受験で不合格となった場合は、子どもの心のケアを最優先に考えましょう。子どもが気持ちを切り替えられるよう、泣いたり遊んだりしてリフレッシュする時間を設けることが大切です。また、不合格の場合のシミュレーションを事前に行い、どのように声をかけるか、次の受験校をどうするかを考えておくと安心です。


結論

「1月校お試し受験」は、2月本番に向けた貴重な経験を提供しますが、その実施は家庭ごとの状況に応じて慎重に判断する必要があります。子どもの性格や受験計画に合わせて、お試し受験を通じて得られるメリットを最大限に活かすと同時に、リスクを最小限に抑える計画を立てることが重要です。このような準備を整えることで、受験生は2月本番に向けてより良い状態で臨むことができるでしょう。

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個別指導型 中学受験専門塾 INSPIRE ACADEMY

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