中学受験で人気!大学付属校とは?基本概念からメリット・デメリットまで解説

大学付属校とは?基本概念からメリット・デメリットまで解説

大学付属校とは、大学またはその特定の学部に付属している小学校・中学校・高校を指します。この形態の学校は、日本の教育システムにおいて特有のものと言えます。その規模や展開エリアは学校によって異なり、首都圏から地方都市まで幅広く存在します。一般的には、難関大学に付属する学校ほど高い偏差値を持つ傾向があります。代表例として、早稲田大学や慶應義塾大学の付属校をはじめ、首都圏のGMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政)や関西圏の関関同立(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)の付属校が挙げられます。こうした学校は近年ますます人気が高まっています。

以下では、大学付属校の特徴、メリット、デメリットを詳しく掘り下げていきます。


大学付属校の魅力的なメリット

1. 大学受験なしで進学できる安心感

大学付属校の最大の利点は、中学受験さえクリアすれば、その後の高校受験や大学受験を免除されることです。この「エスカレーター式進学」は、多くの家庭が大学付属校を志望する大きな理由の一つです。特に昨今では、私立大学の入試制度が厳格化され、有名大学への合格が以前より難しくなっています。そのため、早い段階で進学先を確保しておく選択肢が、安心感と安定感を提供しています。ただこの場合安心するのは親であって当の子供は大学受験まで目が向いているはずがないので親が一番喜ぶことになるでしょう。

2. 受験勉強に追われない時間的余裕

大学付属校では受験がないため、学習のプレッシャーから解放されます。英単語や歴史用語の詰め込み作業や、数学問題のパターン練習といった、いわゆる「受験勉強」を必要としません。この余裕により、生徒たちは部活動や趣味に集中でき、のびのびと学生生活を送ることが可能です。

3. 一貫教育による質の高い学び

付属校に入学することで、長期間にわたる一貫教育を受けられる点も魅力的です。たとえば、慶應義塾大学の付属校には複数の選択肢があり、それぞれが内部進学に適したカリキュラムを提供しています。こうした一貫教育は、大学での学びにスムーズに繋がる土台を形成します。

4. 大学入試改革や制度変更の影響を受けにくい

2020年度から大学入試改革が進み、従来のセンター試験が廃止され、共通テストに切り替わりました。しかし、この新制度はまだ安定しておらず、不確実な要素が多い状況です。そのため、外部受験のリスクを回避できる大学付属校は、安心感を求める家庭に支持されています。

5. 塾代を抑えられる

受験対策のための塾通いが不要なため、塾代が大幅に削減できるのも大きなメリットです。この分、家計の負担が軽減され、他の教育や体験活動に投資する余裕が生まれます。ただし中学受験で多額の塾代はかかっていますし中高一貫のほとんどが私立なので中学は勿論、都立や県立高校に行くことを思えばそこでの塾代よりも多くのお金を払うコトになります。また中高一貫でも塾に行く人は一定数いるため完全にタダというわけではありません。お金のことを気にするならば中学受験はあまりお勧めできません。


大学付属校の課題やデメリット

1. 学力が十分に身につかない可能性

内部進学が確約されている環境では、安心感が油断を生み、生徒が十分に勉強しなくなるケースがあります。結果として、大学進学後の講義についていけず、学力差が顕在化するリスクがあります。たとえば、英語が苦手な内部進学生が、大学の講義で困難を感じることは少なくありません。とくに中学受験では英語が無いことがほとんどなため英語が大穴になってしまうことがよくあります。

2. 進路選択の制限

大学付属校は、その付属大学内での進学を前提としているため、進路が限定されるという課題があります。たとえば、医学部や薬学部など特定の学部が存在しない場合、生徒がその分野に進みたくても選択肢がなくなります。中学受験時点で具体的な進路を見据えている生徒は少ないため、この点は後になって悩みの種になることがあります。また慶応義塾大学は医薬もありますが圧倒的な倍率があるため内部でしっかり成績を取っていないと自分の行きたい学部に行けなくなります。早稲田やMARCHには医薬系はそもそも存在しないため外部受験をするしかなくなります。指定校推薦もありますがそれはもう狭き門1,2人しかありません。特に人気の付属校は文系が主要な大学が多いため理系に行きたい学生は悶々とすることでしょう。例えば立教大学は理系が理学部しかないにもかかわらず付属校の立教新座は男子校なので理系に進みたい人が多くなります。が、8割ほどが文系の立教にそのままエスカレーター進学します。それだけ付属校の外部受験は厳しい道のりです。(理系の強い四工大付属では逆の現象も)

3. 外部受験の難しさ

先ほど軽く触れましたが付属校からの外部受験はいばらの道です。いくら有名大学でも自分の学びたい学問が大学なければ意味がありません。特に理系や教育、中でも医療系はエスカレーター先の大学にないこともよくあります。付属校から別大学を目指す場合、内部進学を前提とした付属校では、外部受験に対するサポートが不十分なことがあります。さらに、周囲の多くが内部進学を目指す環境では、外部受験に向けたモチベーションを維持するのも難しくなります。周りは高3の夏には学部まで確定する一方で自分一人だけ受験勉強に励み学校行事も楽しめなければ遊びに行く友達を横目に塾通いをしなければいけません。特に年末年始はイベントが豊富で苦しい思いをするでしょう。

4. 長期間の人間関係のリスク

一貫教育では、同じ仲間と長期間過ごすことになりますが、これが人間関係のストレスを生む可能性もあります。いじめやトラブルが起きた場合、簡単に環境を変えられないことが難点です。例えば中一でいじめの標的にされた場合最低でも6年間です。高校から全く違う環境に行けるわけではありませんし、中学受験では転向などできません。これが付属校で大学までともなると10年です。地獄です。

5. 留年や進学失敗のリスク

内部進学には成績基準が設けられている場合が多く、これを満たせなければ希望する学部に進学できません。内部進学を当然視して努力を怠ると、進学自体が難しくなる可能性もあります。全入の付属もありますが大体上位7割に位置していないと付属大学に上がれません。上位7割に入れない深海魚生活なわけですから大学受験でも成功できません。しかもMARCHの付属だったのにニッコマにはいけないとプライドが邪魔して浪人するケースもよくあります(状況的にはニッコマに受かればマシ)。親からしてみれば付属校に入れて安泰だと思っていたのに…大誤算なんてことも。


大学付属校を選ぶ際の注意点

大学付属校は、受験を回避できる便利さが強調されがちですが、「楽ができるから」という理由だけで選ぶのは危険です。特に中学受験の段階で「ここを乗り越えればあとは楽になる」といった甘い言葉で子どもを励ますことは、後々の学びの意欲に悪影響を与える可能性があります。

付属校に進学する場合は、以下のような意識を持つことが大切です。

  1. 興味のある分野を深める意識を育てる
  2. 部活動や課外活動に積極的に参加する
  3. 自分の将来の目標と学校のカリキュラムを照らし合わせる

結論

大学付属校は、受験の負担を軽減し、長期間の一貫教育を受けられる魅力的な選択肢です。しかし、その一方で、進路選択の制限や学力低下のリスクといった課題もあります。お子さんが付属校で何を得たいのか、親子で十分に話し合い、「楽をするため」ではなく、「興味を広げるため」の進学であることを確認することが重要です。大学付属校は、適切な目標と計画があれば、子どもの成長にとって非常に有益な環境となるでしょう。

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個別指導型 中学受験専門塾 INSPIRE ACADEMY

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