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埼玉に御三家がない理由と現状を徹底解説
「埼玉の御三家」という言葉を耳にしたことがない、という方も多いのではないでしょうか。実際のところ、埼玉には東京や神奈川で使われるような「御三家」と呼ばれる学校群は存在しません。その理由や背景、そして埼玉の教育事情について、この記事で詳しく解説していきます。
御三家とは?まずはその定義を知ろう
まず、「御三家」という言葉について確認してみましょう。この言葉は、もともと東京の男子校「開成」「麻布」「武蔵」の3校を指して使用され始めたものです。これらの学校が全国的な東大合格者ランキングで常にトップクラスだったことから、「名門校の代名詞」として受験業界やメディアによって広まりました。
さらに女子校では「桜蔭」「女子学院」「雙葉」の3校が、男子校に対応する形で東京の女子御三家と呼ばれています。
その後、同じような歴史や実績を持つ学校群が神奈川や千葉にも存在することから、それぞれの地域で「御三家」という言葉が使われるようになりました。

※余談:お魚の御三家ブリ、ヒラマサ、カンパチ。これらの魚は「ブリ御三家」や「青物御三家」と呼ばれ、釣りでも食用も人気があります。
近隣都県の御三家を見てみよう
東京の御三家
- 男子校:開成、麻布、武蔵
- 女子校:桜蔭、女子学院、雙葉
このラインナップは、日本の中学受験界における「元祖御三家」とも言える存在です。どの学校も長い伝統を持ち、東大や難関大学への圧倒的な進学実績が特徴です。
神奈川の御三家
- 男子校:栄光学園、聖光学院、浅野
- 女子校:フェリス女学院、横浜共立学園、横浜雙葉
東京に続いて神奈川でも、男子・女子それぞれの御三家が定着しています。これらの学校は、学力の高さだけでなく、文化的な伝統や教育方針も評価されています。
千葉の御三家
- 共学校:渋谷教育学園幕張(渋幕)、市川、東邦大学付属東邦
千葉では、共学での「御三家」が形成されています。渋幕を筆頭に、全国的にも注目される高い進学実績が特徴です。
千葉は市川の共学化などに伴い男子校が存在しません。
なぜ埼玉には「御三家」がないのか?
1. 圧倒的な東大合格者数を誇る学校がない
御三家の要件として最も重視されるのが、「東大合格者数」です。東京や神奈川の御三家が他県でも名門として知られるのは、毎年多くの東大合格者を輩出しているためです。
一方、埼玉の私立中高一貫校で東大合格者が多いのは「栄東」と「開智」の2校ですが、全国ランキングで見ると上位校と比べてその数は限定的です。特に、東京や神奈川の御三家と肩を並べるほどの圧倒的な実績はありません。
2. 埼玉の私立校の特殊な事情
埼玉の私立中高一貫校には、特色あるコース編成を持つ学校が多く見られます。例えば、「淑徳与野中学校」の医進コースや、「埼玉栄中」の医学クラスが挙げられます。これらのコースは難関大学・学部への進学を目指したものですが、学校全体の偏差値とコース偏差値に大きな差がある場合があり、学校全体として「御三家」と認識されにくい要因になっています。
また、「栄東」や「開智」の特待生制度により、優秀な生徒が集まり成果を出している側面もありますが、全体的な入学難易度では東京や千葉の御三家に届かないのが現実です。
3. 歴史やブランドの欠如
御三家と呼ばれる学校には、進学実績だけでなく、長い歴史や独自の教育理念が存在します。一方、埼玉の私立中高一貫校の多くは比較的新しい学校で、まだ「伝統校」としてのブランドを確立しているとは言えません。とくに「栄東」は最近成り上がった逆転校であるため受験生の父母世代が中学受験をしていたとしてもなじみがありません。そういったことも影響していると考えられます。
埼玉の教育事情と学校の特徴
埼玉の私立中高一貫校
埼玉の中高一貫校は進学実績だけでなく、スポーツや文化活動で優れた成果を上げている学校も多く存在します。例えば、埼玉栄中学・高校はスポーツ分野で全国的な実績を持ち、「文武両道」の理念を掲げています。また、「立教新座中学校」は立教大学への内部進学率の高さから安定した人気を誇っています。
さらに、近年では「開智グループ」の存在感も増しており、開智中学・高等学校、開智未来中学・高等学校、開智所沢小中等教育学校と、複数校で独自の教育方針を展開しています。
埼玉県の公立中高一貫校
埼玉県内には、次の4校の公立中高一貫校があります:
- 埼玉県立伊奈学園中学校
- さいたま市立浦和中学校
- さいたま市立大宮国際中等教育学校
- 川口市立高等学校附属中学校
これらの学校は、難関大学への進学実績も一定の評価を得ていますが、まだ東京の公立中高一貫校(例:筑波大学附属駒場中学校)のような全国的な知名度や進学実績には至っていません。
埼玉の「県立御三家」について
埼玉県には、私立ではなく**「県立御三家」**と呼ばれる公立高校群があります:
- 浦和高校(男子校)
- 浦和第一女子高校(女子校)
- 大宮高校(共学校)
これらの高校は、いずれも難関大学への進学率が非常に高いことから、県内で圧倒的な人気を誇っています。特に浦和高校は東大や京大への合格者数も多く、埼玉の公立高校の中では名門とされています。
この高校の存在が埼玉で中学受験が盛んにならない一因でもあります。いい大学に行きたいならいい高校へという流れが世代を超えて強いこともあるため都心ほど中学受験の必要性に駆られていないという側面があります。
まとめ:埼玉に御三家がない理由と今後の展望
埼玉には、東京や神奈川のような「御三家」という呼称を冠する学校は存在しません。その理由として、東大合格者数などの進学実績、学校全体の偏差値、歴史やブランド力の面で、他県の御三家に比べてまだ発展途上にあることが挙げられます。
しかし、埼玉の教育事情は着実に進化しており、特に私立校では独自の特色や教育方針で新たな魅力を打ち出す学校が増えています。これからの埼玉の教育界がどのように発展していくのか、期待が高まるところです。
御三家という呼び方にこだわらず、それぞれの学校の特徴を活かした選択をすることが、埼玉の受験生にとって大切なポイントになるでしょう。