中学受験で「理科が苦手…」という声は少なくありません。受験生や保護者が気になる理科の苦手ポイントを、まとめていきます。
❗ 理科が苦手になりやすい理由
1. 専門用語や暗記範囲が非常に多い
理科には「葉緑体」「気孔」「蒸散」など普段使わない言葉が頻出し、量だけでなくそれらの因果関係まで把握しなければならず、暗記にとどまらない理解が求められます。またこれらを漢字で記述することを求められることもあり小学生には難易度が高くなっています。
2. 分野によって求められる力が異なる
理科ならではの特徴ですが生物・地学は暗記系、物理・化学は計算や論理的思考が必要なため、生徒によって得意不得意が分かれやすく、学習スタイルの切り替えが難しい科目です。文系より、理系よりそれぞれ小学生のうちから得意科目が分かれますが理科は単元によってスタイルが異なるため偏差値が安定しないことも特徴です。
3. 計算問題や公式を使った問題が苦戦の種
電流・密度・濃度・力のつりあいなど物理・化学の計算は、単なる算数力だけでなく、どの単元でどの公式を使うかの判断力が鍵になります。途中式の記述や比の活用が苦手な子が多く見られます。難関校になればなるほど計算力が求められます。
4. 長文・実験読解・記述問題の増加
近年、理科でも「なぜその手順か」「データ・グラフの解釈」を記述させる問題が増えており、文章理解力や論理的説明力も必要になっています。暗記分野も丸暗記は通用せず論理的に深い理解が求められます。
5. 抽象的な現象のイメージ化が難しい
電流や分子・原子、重力などは目に見えず抽象的。頭でイメージできないものは理解しづらく、苦手意識を持つ原因になります。特に物理の電気分野は苦戦する子が多くなります。
6. 苦手意識の悪循環
一度点数が低いとネガティブな評価を受けがちで、「理科は苦手」という思い込みが定着し、学習意欲そのものが下がる傾向があります。生物、地学の暗記分野は得意だけど物理、化学の計算分野はサッパリという子も多いです。それぞれの特性の違いを理解させ、理科全体を嫌いにならないようにしてあげましょう。

🔎 理科で特につまずきやすい単元と理由
分野 | つまずきやすい理由 |
---|---|
力学(てこ・滑車・ばね) | 支点や作用点など図を描かず丸暗記。公式の意味を深く理解しないと応用できない 計算もあるため算数が苦手な子はここで躓く |
電気 | 電流や電圧の仕組みが抽象的。実験条件や並列・直列回路の理解が難しい。 また電気は目に見えないため感覚的に理解しずらく、小学生には難しい分野 |
水溶液・状態変化 | 蒸発・凝縮など用語の意味と実験手順を混同。可視化・体験で理解を補強する必要がある |
天体・地学 | 太陽・地球・月の位置関係など立体的思考が求められる。方角や日時の理論を結びつける難しさあり 星座や星の名前など覚えることが多く暗記が苦手な子は苦戦必須 |
生物 | 構造の類似で混同しやすく、専門的漢字や構造図への理解が不可欠 |
✅ 苦手を克服するための対策ポイント
- 単語を覚えるだけでなく、「意味」や「なぜ」を理解する習慣をつける
→ 用語と概念を因果関係でつなぐ(ex. 「蒸発」と「凝縮」の違い)丸暗記に頼らないようにしましょう。 - 図やスケッチ、模型を活用して「目に見えないもの」を可視化する
→ 力の向きや天体の動きを自分で描く習慣をつける。物理学の基本は図です。しっかり図示するクセをつけましょう。 - 計算問題は途中式を残す、パターン練習を重視する
→ 比や比例、化学反応の計算など、段階的な演習で得点力を養う - 長文・記述問題への慣れを作る
→ 問題文を整理しながら読む練習をし、記述も一文で回答する力を育む - 興味を持たせるための体験や動画活用
→ 実験動画や家庭でもできる簡単な観察で、理科への関心を高めましょう。生物や地学の分野は実際に外に出てフィールドワークをしてみるのもいいでしょう。実際に昆虫を捕まえたりや花を育てたりすると勉強するときも興味がわいて定着が早くなります。夜になれば星が見えるはずですので空を見上げながら一緒に星座や夏の大三角などをさがしてあげましょう。
✍︎ まとめ
中学受験の理科は「覚える」「計算する」「考える」「表現する」など、多角的な学習スキルが必要とされる科目です。そのため、苦手に感じる子が多いのも自然なこと。でも、きちんと対策を取れば得意科目に変わる可能性も十分あります。
まずはどこでつまずいているのか見極め、小さな成功体験を重ねることが大切です。必要に応じて、演習量や塾・家庭教師などの支援を活用しながら、苦手意識を少しずつ取り除いていきましょう。