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中学受験直前期、子どものメンタルと親の関わり方
― 塾講師として毎年思うこと ―
はじめに
中学受験直前期になると、毎年必ず同じ相談が増えます。
「子どもが『もう無理』と言い出しました」
「最近、急に成績が下がってきていて不安です」
私はこれまで多くの受験生を見てきましたが、
「結果を分けたのは学力ではなかった」と感じる場面が何度もありました。
ある年の1月、算数が安定していたはずの生徒が、突然ケアレスミスを連発し始めました。問題を見れば解けるはずなのに、答案が崩れていく。その子は私にこう言いました。
「先生、もう何をやってもダメな気がします」
その瞬間、必要だったのは新しい解法でも、追加の宿題でもありませんでした。
「もう無理」と言い出した子に、塾講師が本当にかけている言葉
子どもが「もう無理」と言うとき、それは“勉強が分からない”という意味ではないことがほとんどです。
多くの場合、「不安」「疲れ」「失敗への恐怖」が限界に達しています。
このとき、塾講師がよくかけるのは
「まだ伸びる」「大丈夫、いける」といった根拠のない励ましではありません。
私がよく使うのは、
「今、しんどいと感じているのは普通だよ」
「ここまでやってきた事実は消えない」
という言葉です。
目標や合格ではなく、「ここまで積み上げてきた過程」に意識を戻す。
すると、子どもの表情が少し緩むことがあります。
これはあくまで私が現場で見てきたケースです。
しかし、「前を向かせる」より「一度立ち止まらせる」ことで回復する子は少なくありません。
直前期に成績が下がる子の共通点【塾ではこう立て直す】
直前期に成績が下がる子には、いくつか共通点があります。
・問題を解くスピードが必要以上に速くなる
・「全部解こう」として時間配分が崩れる
・間違い直しを雑に済ませる
・睡眠時間が削られている
特に中堅校志望の子は、「合格できるかもしれない」という位置にいる分、
失敗を極端に怖がる傾向があります。
塾では、この時期に新しいことはほとんどやりません。
むしろ、
「今日はこの1単元だけを丁寧に確認しよう」
「今日はスピードより正確さ」
と、ブレーキをかけます。
不思議なことに、学習量を減らしたほうが答案が安定する子は多いのです。
親の関わり方で「よくなったケース」「苦しくなったケース」
親御さんの関わり方で、子どもの状態が大きく変わる場面も何度も見てきました。
あるご家庭では、模試の結果が下がった直後、
「どうしてできなかったの?」と聞き続けてしまい、
子どもが勉強机に向かえなくなったことがありました。
一方で、別のご家庭では、
「今日は疲れたね。ご飯食べて早く寝よう」
と声をかけただけで、翌日から落ち着きを取り戻したケースもあります。
どちらの親御さんも、子どものことを思っての行動です。
ただ、直前期の子どもは「正論」に耐えられる余裕がないことが多いのです。
受験が終わってから、塾講師として「親に伝えたかったこと」
受験が終わったあと、合否に関わらず、
私はいつもこう思います。
「親御さんも、本当によく耐えていた」と。
不安にならない親はいません。
焦らずにいられる親もいません。
それでも、
・勉強を管理しすぎなかった
・子どもの感情を否定しなかった
・結果だけで評価しなかった
こうした関わりが、子どもを最後まで支えていました。
中学受験は、子どもだけの試練ではありません。
親にとっても、「見守る力」を試される時間です。
まとめ
中学受験直前期、結果を左右するのは知識量だけではありません。
安心感、落ち着き、自分を信じられるかどうか。
そうした要素が、答案の一行一行に表れます。
親が完璧である必要はありません。
迷いながら、悩みながら、それでも子どもの隣に立ち続けたこと自体が、
すでに大きな支えになっています。
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