「水の温度が上がると、ミョウバンはたくさん溶けるんでしょう?」。そこまでは答えられるのに、実験の組み合わせを選ぶ設問では手が止まる。暗記を頑張ってきた子にも起こるつまずきです。
親が「ほかの条件を同じにするんだよ」と伝えると、その場では正解する。それでも、次のテストではまた間違える。こんなとき、知識の覚え直しだけでは原因を取り除けないことがあります。
一つの条件の影響を2つの実験で調べる問題では、調べたい条件だけが違い、それ以外の条件がそろう組み合わせを探します。「何を調べたいか」が決まらないまま表を眺めても、選ぶ基準が定まりません。
この記事では、同じ実験表に対して問いを変えてみます。子どもがどこで迷ったかによって、家庭での説明も変えてみてください。
2026年10月7日作成。以下の例題・条件表は本記事のための自作です。実際の入試問題や実測データではありません。
知識があっても実験問題で止まる理由
理科の実験問題では、知識を思い出すことに加え、書かれた条件を整理する必要があります。水の温度、水の量、溶かす物の種類。どれも目に入るため、何を変え、何をそろえるのかが混ざりやすい。
文部科学省の小学校学習指導要領解説でも、5年生の「物の溶け方」は、水の温度や量などの条件を制御しながら調べる内容です。条件の整理は、難問にだけ使う特別な技術ではありません。
ただし、表を読み取れないのか、設問の目的をつかめないのか、用語自体が分からないのかは別々に確かめたい。全部を「理科の理解不足」とまとめると、必要のない暗記まで増やしてしまいます。
まず「この問題で知りたいのは、水の量の影響? 温度の影響?」と聞きます。答えられないなら、実験番号を選ぶ前に、設問を短い言葉で言い直すところから始めます。
実験表から比べる2つを選ぶ手順
ミョウバンが溶ける量を調べるため、次の4つの実験を計画しました。各温度を保ち、それ以上溶けなくなるまでに溶けたミョウバンの重さを調べる設定です。
表に示した水の量と温度以外の条件は、同じにしてあるものとします。まだ結果は載せていません。ここでは、比較する組み合わせを選ぶことだけに集中できます。
| 実験 | 水の量 | 水の温度 |
|---|---|---|
| ア | 50g | 20℃ |
| イ | 50g | 40℃ |
| ウ | 100g | 20℃ |
| エ | 100g | 40℃ |
問1:水の温度によって溶ける量が変わるかを調べるには、どの2つを比べますか。考えられる組み合わせをすべて答えてください。
最初に、調べたい条件である「水の温度」に印を付けます。温度を変えて比べたいので、残る「水の量」は同じにする。水50gのアとイ、水100gのウとエが選べます。
ここで「アとエ」と選ぶ子もいます。温度は確かに違いますが、水の量も違う。仮に溶けた量に差が出ても、この2つだけでは、温度と水の量のどちらが影響したのか切り分けられません。
アとイ|温度の比較に使える
そろえる水の量
50g → 50g
変える水の温度
20℃ → 40℃
違う条件は温度だけ
アとエ|温度だけの比較には不適切
水の量も変わる
50g → 100g
水の温度も変わる
20℃ → 40℃
違う条件が2つある
覚えたいのは、実験の記号ではありません。「調べたい条件は変える。それ以外はそろえる」という関係です。「条件を全部同じにする」と教えると、調べたい条件まで同じにしてしまうので注意が必要です。
同じ表でも問いによって変わる組み合わせ
次は表を変えず、質問だけを変えます。「水の量によって溶ける量が変わるかを調べるには、どの2つを比べる?」。先ほどの説明を理解して使えたかが見えやすくなります。
今度は水の量を変え、温度をそろえます。答えは20℃のアとウ、40℃のイとエ。水の量は、問1ではそろえる条件でしたが、今回は調べたい条件になりました。
「水の量はいつも同じにする」と覚えた子は、ここで戸惑います。その場合は、正解の組み合わせを教える前に「今回は何の影響を知りたい?」と問い直します。役割は条件の名前ではなく、実験の目的で決まるからです。
| 調べたいこと | そろえる条件 | 組み合わせ |
|---|---|---|
| 温度の影響 | 水の量 | アとイ/ウとエ |
| 水の量の影響 | 温度 | アとウ/イとエ |
もう一つ、条件と結果も分けます。この表には溶けた重さが載っていないため、実験結果として何g増えたかは答えられません。組み合わせを選ぶ問いなのか、結果から分かることを答える問いなのかも読み分けます。
子どもの選び方に合わせた教え直し
正解か不正解かだけでは、教え直す場所は決まりません。選んだ2つを指して「どこを同じにした?」と聞くと、答えに至るまでの見方が分かります。次の3つを手がかりにしてください。
温度の違いしか見ていない場合
問1でアとエを選んだ子に、まず水の量も読み上げてもらいます。50gと100gだと気づけるなら、表全体が読めないのではなく、もう一つの条件の確認が抜けた可能性があります。
温度の列を一度隠し、水の量が同じ行を探す練習に戻します。その後で温度を見せ、違いを確認する。解説を長くするより、見る列を一つずつに減らす方が取り組みやすい場合があります。
問いを変えても同じ組み合わせを選ぶ場合
「さっきアとイだったから」と答えるなら、比較の目的が残っていないかもしれません。設問の「温度」と「水の量」を指し、今回の違いを本人に言葉で説明してもらいます。
目的を言えるのに選べない場合は、調べたい条件を丸、そろえる条件を下線で区別します。親が印を付け続けるのではなく、次の問題で本人が付けられるかを確かめます。
知っている結論だけで答える場合
「温かい方が溶ける」と説明できても、組み合わせを選んだ理由にはなりません。「その考えを確かめるなら、量はどうしておく?」と、知識を実験の組み立て方につなげます。
反対に、「水の量」と「溶けたミョウバンの量」を取り違えているなら、用語と表の見出しの確認が先です。同じ不正解でも、条件の整理と知識の補充を分ける必要があります。
家庭で確認したい説明と復習の範囲
家庭では、最初から実験問題を大量に追加する必要はありません。一問を使って、調べたいこと、同じにした条件、選ばなかった組み合わせの問題点を順に説明してもらいます。
「水の量が同じで、温度だけが違うから」。この例題では、これくらいの短い説明で十分です。「なんとなくアとイ」を卒業し、選ぶ理由が言葉になっているかを確認します。
次の練習では、行の順番や記号を変えてみます。それでも選べたら、振り子など別の単元で、調べたい条件とそろえる条件を探します。難度を急に上げず、同じ考え方を別の表で使えるかを見るためです。
自力で説明できたところで、その日の練習を区切って構いません。後日、ヒントなしで選べるかを確認します。途中で親が手伝った場合は、何を伝えたかだけ記録すると、次の指導に役立ちます。
実験の比較以外にも苦手がある場合は、理科でつまずきやすい単元と理由から整理できます。計算、用語、条件の読み取りを一度に直そうとせず、答案から優先する課題を絞ります。
学習内容の確認資料:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編」第5学年「物の溶け方」。2026年10月7日確認。例題と家庭での確認手順は、本記事独自の構成です。
理科の答案から整理する個別指導
「暗記不足だと思っていたけれど、問いを変えると混乱していた」。こうした違いに気づくと、増やすべき練習が見えてきます。知識が足りている部分まで、最初から覚え直す必要はありません。
INSPIRE ACADEMYでは、中学受験の理科も個別指導で対応しています。実験問題で間違えた答案と、使用している教材をもとに、知識・条件整理・計算のどこに補強が必要かをご相談いただけます。
答えを書き直す前の答案があれば、お持ちください。何を見てその組み合わせを選んだのかを確かめ、今の塾や家庭学習で補う内容を一緒に整理します。
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