内容確認日:2026年10月9日/対象:気体の集め方を学習する小5・小6と保護者
気体の集め方は、まず水への溶けやすさ、次に空気と比べた重さで考えます。水上置換では水を押し出します。上方置換と下方置換は、びんの中の空気を押し出して気体を集める方法です。
「下方置換なのに、空気は上に出ている」。図を見て、かえって混乱する子もいます。図の矢印が、集める気体と追い出される空気のどちらの動きを示すのかを確かめます。ここを分けると名前と図がつながります。
最初に分けたい発生と収集の役割
装置図には、気体を発生させる容器と、集める容器が描かれています。この記事の図では、左のフラスコが発生側、右の集気びんが集める側です。管を通って気体が右へ送られます。
置換法を見分けるとき、主に見るのは右側の集気びんです。フラスコの形だけでは、水上置換か下方置換かは決まりません。「何から気体を作るか」と「どう集めるか」は、別々に確認します。
置換とは、そこにあったものを別のものと置き換えるという意味です。空っぽに見えるびんにも空気が入っています。気体を入れるには、先にあった水や空気が出ていく場所も必要です。
以下の図は、集め方の違いを示す模式図です。発生装置はフラスコの記号に統一し、薬品や加熱器具は省いています。アンモニアなどの発生実験を家庭で行うための手順ではありません。
水上置換法で押し出される水
水上置換法は、水に溶けにくい気体を集めるのに向いています。初めに集気びんを水で満たし、口を水中に入れたまま逆さに置く。そこへ気体を送り込み、びんの中の水と入れ替えます。
金色の線:気体を通す管。薄い金色:集まった気体。色は見分けるために付けています。
気体がたまる場所は逆さのびんの上側で、水面は下がっていきます。入った気体が水を押し出すためです。びんの中に気体が増えるほど、びんに残る水は減ります。
酸素や水素は、この方法で集められます。空気より重いか軽いかだけで先に振り分けると、水素を上方置換だけで集めると思い込みがちです。水に溶けにくいなら、水上置換も選べます。
水に非常によく溶ける気体を送ると、水に溶け込んでしまい、気体として集めにくくなります。水上置換の可否では、上へ動くかより先に、水に触れても集められるかを考えます。
「空気が混じりにくい」ことも利点です。ただし、発生装置や管には初めから空気があるため、出始めの気体にはそれが混じります。水上置換なら最初から完全に純粋になる、という意味ではありません。
下方置換法で下にたまる気体
下方置換法は、空気より重い気体を集める方法です。集気びんの口は上向きにし、管の先を底の近くまで入れます。代表的な例は二酸化炭素です。
金色の線:気体を通す管。薄い金色:集まった気体。色は見分けるために付けています。
送り込まれた気体はびんの下側にたまり、もともとあった空気を上へ押し出します。下に集める気体と、上へ出ていく空気は、別のものです。「空気が上へ出るから上方置換」と判断しないようにします。
管の先が底の近くにあるのは、気体を下側から入れるためです。口の近くで吹き込むより、空気と混ざりにくくなります。集気びんの口には空気の出口を残し、密閉しません。
ここでの「重い」は、同じ温度・圧力で同じ体積の空気と比べる意味です。大きなびんか小さなびんかで決めるのではありません。問題文で密度という言葉が使われたら、この比較につなげます。
上方置換法で逆さにする集気びん
上方置換法は、空気より軽い気体を集める方法です。集気びんの口を下向きにし、管の先をびんの上部まで入れます。上にたまる気体が、空気を下へ押し出します。
金色の線:気体を通す管。薄い金色:集まった気体。色は見分けるために付けています。
アンモニアは空気より軽く、水に非常によく溶けます。そのため水上置換は適さず、上方置換で集めます。「軽いから」だけでなく、「水によく溶けるから水を使わない」まで説明できると、方法を選ぶ理由がつながります。
図を見るときは、管が途中で曲がる向きに惑わされないことが大切です。フラスコから右へ進んだり、下へ回ったりする部分は、装置の置き方で変わります。確認するのは、最後に管の先が集気びんのどこへ届いているかです。
上方置換・下方置換では、空気との混ざり合いを完全に防げるわけではありません。図の色分けは動きを理解するためのもので、実際の気体が水と油のようにくっきり分かれるという意味ではありません。
三つの集め方と二酸化炭素の注意点
| 方法 | 選ぶ手がかり | 押し出すもの |
|---|---|---|
| 水上置換 | 水に溶けにくい 例:酸素・水素 |
びんの中の水 |
| 下方置換 | 空気より重い 例:二酸化炭素 |
空気を上へ |
| 上方置換 | 空気より軽い 例:アンモニア |
空気を下へ |
注意したいのが二酸化炭素です。水に少し溶けるため、下方置換で集める例があります。一方で、水上置換で集める実験もあります。「二酸化炭素は水上置換では絶対に集められない」と覚えるのは不正確です。
二酸化炭素を水上置換で集める場合、発生した一部が水に溶けます。発生量と集めた量を比べる設問では、この違いが関係します。気体の名前だけで答えを固定せず、問題に描かれた装置と条件を読みます。
また、「水上置換が使える気体は何か」と「図の方法の名前は何か」では、答える内容が違います。前者は性質の判断、後者は装置の読み取りです。設問で何を聞かれているかを先に言い直すと、答えが整理できます。
名前の暗記から理由の説明への進め方
家庭では、方法名を隠して「最初、びんには何が入っていた?」「気体が来たら、それはどこへ出る?」と聞いてみます。水なのか空気なのかを区別できると、図を追う順番ができます。
水上置換と上方置換を取り違えるなら、逆さのびんだけを見ている可能性があります。びんの口が水の中にあるかを確認します。同じ下向きの口でも、水を押し出す装置と空気を押し出す装置では方法が違います。
気体の性質を言えるのに装置を選べない場合は、びんだけを紙に描いてもらいます。口をどちらに向けるか決め、その中に気体がたまる場所を示す。最初から管やフラスコまで描かせず、判断する箇所を絞ります。
下方置換を上方置換と答えたときは、空気の矢印を見ていないかを確かめます。「今、集めたい気体がたまっているのはどこ?」と聞き直す。名称を繰り返すより、何を追って図を読んだかを見ます。
理解を確かめる最後の一問は、未知の気体にすると効果的です。「水に非常によく溶け、空気より軽い気体なら?」。上方置換と答え、水を使わない理由とびんを逆さにする理由を一つずつ言えるか確認します。
実験の図は読めても、比較する条件で迷う場合は、理科の実験で比べる二つを選ぶ練習も使えます。用語の暗記と、図や条件の読み取りを分けて復習できます。
理科の図を前に止まってしまうときの相談先
中学受験専門のINSPIRE ACADEMYでは、理科のつまずきも個別に確認します。用語は言えるのに装置図で間違える場合は、実際の答案を使い、知識が足りないのか、図のどこを見るかで迷うのかを確かめます。
相談時には、間違えた問題と、お子さまが選んだ答えをそのままお持ちください。大手塾で習った内容の補習も含め、ご家庭で説明を繰り返している単元からご相談いただけます。
確認資料:学校図書「気体の性質・気体の集め方」、「アンモニアの噴水」、啓林館「ビニール袋を二酸化炭素でいっぱいにしよう」。科学的な性質の確認に使用し、本文と模式図は本記事用に作成しました。
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