雨温図は「1月の気温」と「どの季節に降水が多いか」の二つを見れば、日本の6つの気候区分をほぼ見分けられます。まず、この二つの見る場所を押さえます。
中学受験で点を落としやすいのは、都市名を覚えているのに、グラフを見ると答えが出ない場面です。「金沢は日本海側」と言えても、雨温図のどこを見れば日本海側と分かるのかが説明できない。そんなときは都市名を覚え直す前に、グラフの読む順番を決めます。
この記事では、地理を学ぶ小学生と保護者に向けて、6つの気候区分を3ステップで見分ける方法と、その理由になる季節風のしくみを整理します。
内容確認:2026年10月15日。気温と降水量は気象庁の平年値(1991〜2020年)をもとにしたおおよその値です。図と確認問題は学習用に独自作成したものです。
雨温図は棒と折れ線を分けて読む
雨温図は、一つのグラフに二種類の情報が重なっています。棒グラフが月ごとの降水量、折れ線グラフが月ごとの平均気温です。目盛りも左右で別々なので、最初にどちらの目盛りを読むかを決めます。
図1 雨温図の読み方(東京の例)
30
20
10
0
-10
400
300
200
100
0
気温(℃)
降水量(mm)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
月
棒=降水量(右目盛り)
折れ線=気温(左目盛り)
台風・秋雨
冬は少ない
点線は気温0℃の線です。教材によっては左右の目盛りが逆の場合があるため、必ず単位(℃とmm)で確認します。
読む順番は、先に折れ線で冬の気温、次に棒で降水が多い季節です。年降水量の合計はグラフの外に書かれていることが多いので、最後に確かめる材料として使います。
東京の場合、1月の気温は約5℃で0℃の線より上、棒は9〜10月が高く冬が低い形です。この「夏から秋に多く、冬に少ない」形が太平洋側の気候の目印になります。
六つの気候区分と代表都市を表で比べる
日本の気候は、北海道・日本海側・太平洋側・中央高地・瀬戸内・南西諸島の6つに分けて学びます。代表的な都市の数字を並べると、どこに差が出るかが見えてきます。
| 気候区分 | 代表都市 | 1月の気温 | 年降水量 | 見分けるポイント |
|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 札幌 | 約−3℃ | 約1100mm | 冬の寒さが厳しい/はっきりした梅雨がない |
| 日本海側 | 金沢 | 約4℃ | 約2400mm | 冬(12〜1月)の降水量が多い |
| 太平洋側 | 東京 | 約5℃ | 約1600mm | 夏から秋に多く、冬は少なく乾燥する |
| 中央高地 | 松本 | 約0℃ | 約1000mm | 降水量が少なく、夏と冬の気温差が大きい |
| 瀬戸内 | 高松 | 約6℃ | 約1100mm | 一年を通して降水量が少なく、冬も温暖 |
| 南西諸島 | 那覇 | 約17℃ | 約2200mm | 冬も暖かい/梅雨と台風の時期に降水が多い |
札幌と高松は、年降水量がどちらも約1100mmでほぼ同じです。年降水量の数字だけでは見分けられないということが、この表から分かります。だからこそ、最初に冬の気温を見る手順が必要になります。
3ステップで見分けるフローチャート
雨温図の問題は、次の順番で候補をしぼります。ステップ1で冬の気温によって三つのグループに分け、ステップ2で降水の形を見る。この流れを決めておくと、初めて見るグラフでも迷いにくくなります。
図2 雨温図から気候区分をしぼる手順
北海道 か 中央高地
→ 北海道
→ 中央高地
日本海側・太平洋側・瀬戸内
→ 日本海側
→ 太平洋側
→ 瀬戸内
冬でも暖かい
→ 南西諸島
入試で使われやすい代表都市を前提にした目安です。同じ気候区分の中でも、都市によって数字は変わります。
ステップ3は省略しがちですが、選択肢に年降水量が書かれている問題では決め手になります。たとえば「冬に多いから日本海側」と判断したら、年降水量が2000mm以上あるかを見て裏付けを取ります。
日本海側に雪が多い理由は冬の季節風
冬は北西から季節風がふきます。この風が日本海の上で水分を含み、山地にぶつかって日本海側に大量の雪を降らせます。雪を降らせた後の風は乾いているため、山をこえた太平洋側は晴れて乾燥します。
図3 冬の季節風が山をこえるときの変化
日本海
太平洋
山地
日本海側
太平洋側
雪雲
しめった北西の季節風
雪が多い
山をこえて乾いた風
晴れて乾燥
冬の季節風を示した断面の模式図です。山の高さや風の向きの角度は実際とは異なります。
夏は向きが反対になり、南東の季節風が太平洋側に雨をもたらします。梅雨や台風も重なるため、太平洋側の棒グラフは夏から秋に高くなります。冬は日本海側、夏は太平洋側と、季節風が当たる側に降水が多いと押さえます。
日本海側の冬の棒グラフが高いのは、雨ではなく雪が多いためです。雨温図の「降水量」には雪も含まれます。「冬に雨が多い地域」と書かれた選択肢は、言葉の違いに注意して読みます。
瀬戸内と中央高地に雨が少ない理由
瀬戸内は、北の中国山地と南の四国山地にはさまれています。冬の北西の季節風は中国山地で、夏の南東の季節風は四国山地でさえぎられるため、どちらの季節も雨が少なくなります。
図4 二つの山地が季節風をさえぎる
北西の季節風
→
ここで雪や雨を降らせる
どちらの風も届きにくく、雨が少ない
ここで雨を降らせる
南東の季節風
←
北(左)から南(右)へ並べた模式図です。画面が狭い場合は上から北→南の順に表示されます。
雨が少ないため、瀬戸内では昔からため池をつくって水不足に備えてきました。香川県のため池や、吉野川から水を引く香川用水は、気候と結びつけて出題されることがあります。
中央高地は、周りを山に囲まれ、海から離れた内陸にあります。季節風が山でさえぎられるので降水量が少なく、海の影響を受けにくいため夏と冬の気温差が大きくなります。瀬戸内と中央高地はどちらも雨が少ないので、見分けるときは冬の気温を比べます。
入試でねらわれる五つのひっかけ
雨温図の問題では、グラフの読み方そのものを試すひっかけがよく出ます。左側の文を読んで、どこが違うかを自分で説明できるか確かめてください。
| 誤った考え方 | 正しくは |
|---|---|
| 年降水量が少なければ北海道 | 瀬戸内・中央高地も少ない。冬の気温で区別する |
| 冬の棒が高いのは雨が多いから | 日本海側の冬の降水は雪が中心 |
| 太平洋側は夏に乾燥する | 太平洋側が乾燥するのは冬。夏は梅雨・台風・南東の季節風で降水が多い |
| 南西諸島は一年中同じくらい雨が降る | 梅雨(5〜6月)と台風(8〜9月)の時期に降水が多い |
| 左の目盛りはいつも降水量 | 目盛りの位置は教材によって違う。℃とmmの単位で確認する |
どのひっかけも、図2の手順を守れば防げます。まちがえた問題は正解を覚え直すだけでなく、「1月の気温はどこを見たか」「棒の山は何月か」を指でたどってから解き直すと、別の都市で出されたときにも対応できます。
家庭で理解を確かめる三つの問い
最後に、図を見ずに答えられるかを確かめます。気候区分の名前だけでなく、「グラフのどこを見てそう判断したか」まで言えれば理解できています。答えは問いをタップすると表示されます。
問1 1月の平均気温が約−3℃、年降水量が約1100mmで、6月に降水の山がない雨温図は、どの気候区分ですか。
北海道の気候です。1月が0℃より低いので北海道か中央高地にしぼり、6月に梅雨の山がないことから北海道と判断します。
問2 12月と1月の降水量が月250mm前後ある地域は、どの気候区分ですか。また、その理由を説明しましょう。
日本海側の気候です。北西の季節風が日本海の上で水分を含み、山地にぶつかって雪を降らせるため、冬の降水量が多くなります。
問3 瀬戸内と中央高地は、どちらも年降水量が少ない地域です。雨温図で見分けるにはどこを見ればよいですか。
冬の気温を見ます。中央高地は1月が0℃前後まで下がり、夏との気温差が大きくなります。瀬戸内は1月でも5℃前後あり、冬も比較的温暖です。
答えに詰まった問いがあれば、その部分の図に戻ります。天気予報で日本海側に雪マーク、太平洋側に晴れマークが並ぶ日があれば、図3の季節風の話をしてみてください。毎日のニュースが、雨温図を読み解く手がかりになります。
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