中学受験地理の頻出テーマ:政令指定都市と県庁所在地の関係を整理する
中学受験の地理分野において、「政令指定都市」と「県庁所在地」は、名称が似ていたり、同じ市が両方に該当したりするため、正確な区別が求められます。政令指定都市の定義や、県庁所在地と混同しやすいポイント、そしてそれぞれの都市が持つ特徴について解説します。
政令指定都市とはどのような都市か
まず、政令指定都市という言葉の定義について確認しましょう。これは日本の地方自治法に基づき、国の政令によって指定された大都市のことを指します。
通常、市町村が行う事務よりも広い範囲の権限が県から移譲されており、都市運営において大きな自治権を持っています。一般的には人口が50万人以上であることが一つの目安とされており、都市の中に「区(行政区)」が設置されているのが大きな特徴です。
全20都市の構成と東京都の扱い
現在、日本には以下の20の政令指定都市が存在しています。
- 札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、相模原市
- 新潟市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市
- 神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市、熊本市
東京都の扱い
東京23区は「特別区」と言います。
市町村がないという特殊な場所です。
東京都には「中野区」や「新宿区」といった23の区が存在しますが、これらは「特別区」と呼ばれ、政令指定都市の「行政区」とは制度が異なります。そのため、東京都の中に政令指定都市は存在しないという整理になります。
ただ中学受験でここまで詳しく聞かれることは稀で東京都23区という大きな括りで覚えておけば問題ありません。23区すべてを覚えるなんて必要もありません。
県庁所在地と政令指定都市を間違えやすい
「県庁所在地」と「政令指定都市」は、どちらもその地域の中心的な都市であることが多いため混同されがちですが、その役割には明確な違いがあります。
役割の違い
県庁所在地:県政の中心地
県庁所在地は、その県の行政機関(都道府県庁、都道府県議会など)が置かれている場所を指します。いわば「県という単位のリーダーシップを執る場所」です。
政令指定都市:自治権の大きい都市
一方で政令指定都市は、その都市自体の規模が大きいために、教育や福祉、都市計画といった本来は県が行うはずの仕事の多くを、市が独自に行えるよう指定された都市です。
つまり、県庁所在地は「県全体の行政の中心」という役割に着目した名称であり、政令指定都市は「市としての権限の強さ」に着目した名称。
デメリット
例:大阪府、大阪市 大阪都構想などで度々話題に。府と市が長年対立している。都構想は否決され、条例などを駆使し、二重行政問題解消を目指している。
都道府県 と 政令指定都市 がそれぞれ行政権を持つことで「二重行政」が発生する可能性があります。
県庁所在地ではない「5つの政令指定都市」
20ある政令指定都市のうち、15の都市は県庁所在地を兼ねていますが、残りの5つの都市は「県庁所在地ではない」という特徴を持っています。入試問題などでは、この「県庁所在地ではない政令指定都市」が問われることが多く、正確な把握が必要な箇所です。
- 神奈川県:川崎市、相模原市神奈川県の県庁所在地は横浜市ですが、川崎市と相模原市も政令指定都市に指定されています。
- 静岡県:浜松市静岡県の県庁所在地は静岡市ですが、浜松市も同じく政令指定都市です。
- 大阪府:堺市大阪府の県庁所在地は大阪市ですが、堺市も政令指定都市の認定を受けています。
- 福岡県:北九州市福岡県の県庁所在地は福岡市ですが、北九州市も政令指定都市として大きな権限を持っています。
これらの都市は、工業地帯の中心地であったり、複数の自治体が合併して人口規模が拡大したりといった歴史的背景を持ち、県庁所在地に匹敵する都市機能を備えているという共通点があります。
神奈川県は「全国唯一」の特殊な状況
政令指定都市を整理する上で、神奈川県は非常に特異な例として挙げられます。神奈川県は、一つの県の中に「横浜市」「川崎市」「相模原市」という3つの政令指定都市を抱えており、これは全国で唯一の状況です。
横浜市の二面性
横浜市は、神奈川県の県庁所在地であり、かつ政令指定都市でもあります。このように「県庁所在地であり、かつ政令指定都市である」都市は他にも多く存在しますが、神奈川県の場合は前述の通り「県庁所在地ではない政令指定都市」が複数存在するため、問題文を読み解く際に「どの都市のことを指しているのか」という慎重な判断が求められる場面が見られます。
神奈川県は中学受験頻出
唯一3つの政令指定都市を持ち、うち人口№1で県庁所在地も共有する横浜市がある神奈川県は中学受験でよくでます。間違えないようにしっかり覚えておきましょう。

最後に指定された都市:熊本市
政令指定都市の数は歴史とともに増加してきました。その中で、最も新しく、20番目に指定されたのが熊本県熊本市です。
- 指定日:2012年4月1日
熊本市が指定されたことにより、九州地方には北九州市、福岡市、熊本市の3つの政令指定都市が並ぶこととなりました。
県名と県庁所在地名が異なる、政令指定都市ではない都市
中学受験の地理では、政令指定都市の知識と並んで「県名と県庁所在地名が異なる都市」も頻出の知識です。さらにその中で「政令指定都市には該当しない県庁所在地」というグループが存在します。これらは都市名そのものが試験に出やすいため、事実として整理しておくことが有効です。
以下の都市は、県名と都市名が異なり、かつ政令指定都市ではない県庁所在地です。
- 岩手県:盛岡市
- 茨城県:水戸市
- 栃木県:宇都宮市
- 群馬県:前橋市
- 山梨県:甲府市
- 石川県:金沢市
- 三重県:津市
- 滋賀県:大津市
- 島根県:松江市
- 香川県:高松市
- 愛媛県:松山市
- 沖縄県:那覇市
これらの都市は、政令指定都市ほどの人口規模(50万人以上)には達していないものの、古くからの城下町であったり、地域の交通や経済の拠点であったりと、県政を支える重要な役割を担っています。
問題例
日本海側にある政令指定都市で、新幹線が整備され、農業が盛んな地域はどこでしょう。
よくある間違い✕ 石川県金沢市
答え 新潟市
石川県:金沢市は県庁所在地ですが政令指定都市ではありません。新潟県新潟市と立地も近く非常に混同しやすいエリアとなっています。金沢市は政令指定都市になるための条件のひとつである、人口の問題をクリアできておらず、現在に至ります。
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まとめ:都市の性質を正確に捉える
日本の都市に関するデータは、人口の増減や制度の変更により常に更新されています。政令指定都市と県庁所在地を整理する際に重要なのは、以下の事実を把握することです。
- 政令指定都市は全国に20都市あり、権限が非常に大きい。
- 県庁所在地は県政の中心地であり、必ずしも政令指定都市とは限らない。
- 川崎・相模原・浜松・堺・北九州の5市は、県庁所在地ではないが政令指定都市である。
- 神奈川県のように複数の政令指定都市を持つ県も存在する。
中学受験においてこれらの都市名や特徴を正しく理解しておくことは、記述問題や選択肢問題の基礎となります。