「うちの子は長文読解が苦手で」。中学受験の国語で、いちばんよく聞く相談です。ところが、同じ「苦手」でも、子どもによって止まっている場所はまったく違います。
読むのが遅くて最後まで届かない子もいれば、読み終わったのに聞かれたことに答えられない子もいる。答えは分かっているのに、記述で点を落とす子もいる。この三つは、直し方がまるで違う。
長文読解の対策は、まずどこで止まっているかを見分けるところから始まります。読書量を増やす、問題数をこなす、という一般的な対策が効かないのは、止まっている場所に届いていないからです。
長文読解の苦手を分ける3つの段階
国語の読解問題は、本文を読む、設問に合う場所を探す、答えを書く、の三段階でできています。苦手な子は、このどこかで必ず止まっている。
本文の流れをつかめているか
設問の根拠を本文から見つけられるか
見つけた根拠を答えの形にできるか
見分け方は難しくありません。テストの答案と問題用紙を並べて、どの段階で失点しているかを数えます。保護者の方が見ても、だいたいの傾向はつかめます。
数えるときは、白紙の問題、選択肢の誤り、記述の減点を分けて書き出す。白紙が多ければ読む段階、選択肢の誤りが多ければ探す段階、記述の減点が多ければ書く段階が怪しい。二つの段階にまたがっている子もいるが、その場合は前の段階から直す。読めていないまま探し方を練習しても、根拠の場所は見つからないからだ。
読む段階で止まる子の特徴と直し方
最後の大問が白紙のまま、という答案が続くなら、読む段階で止まっています。時間が足りないのは、解くのが遅いのではなく、読むのに時間がかかりすぎているからです。
このタイプの子は、本文を一文ずつ丁寧に読んでいるのに、読み終わると何の話だったか言えないことが多い。細部に気を取られて、全体の流れを追えていません。
直し方は、段落ごとに止まって「ここは何の話か」を一言で言わせることです。物語文なら、誰が何をして、気持ちがどう変わったか。説明文なら、筆者が何と何を比べているか。最初は親が聞き役になり、答えられたら次の段落へ進みます。
慣れてきたら、段落の横に短いメモを書かせます。読み終わったときに、メモだけで本文の流れを説明できれば合格です。この練習は1回10分で十分で、毎日続けるほうが効きます。
物語文と説明文では、止まりやすい場所が少し違う。物語文は登場人物の気持ちが変わる場面を読み飛ばしやすく、説明文は具体例の段落に時間を取られやすい。具体例は筆者の主張を支える材料なので、読み終えたら「この例で何を言いたかったのか」を一言で言わせる。それだけで、説明文を読む速さはかなり変わる。
探す段階で止まる子の特徴と直し方
最後まで解き終わっているのに、選択肢問題で間違いが多い。これは探す段階で止まっている子の典型です。本文は読めているのに、設問に答えるときに本文へ戻っていません。
「なんとなくこれだと思った」と答える子は、記憶と印象で選んでいます。中学入試の選択肢は、本文の言葉を少しだけずらした誤りの選択肢が必ず混ざっている。印象で選ぶと、そこに引っかかります。
直し方は、答えを選んだら必ず本文の根拠に線を引かせることです。線が引けない選択肢は選ばない、というルールにします。丸付けのときは、答えが合っていても、線の場所が正しいかを確かめてください。正解でも根拠がずれているなら、次のテストでは外れます。
最後の二択で迷う子にも、この方法が効きます。二つの選択肢を本文と一語ずつ照らし合わせ、違う部分に印をつける。本文にない言葉が入っているほうが誤りです。詳しくは最後の二択で間違える原因と対策でも説明しています。
書く段階で止まる子の特徴と直し方
選択肢問題は取れるのに、記述で点が伸びない子がいる。根拠の場所は分かっているのに、答えの形にまとめられないタイプだ。
よくあるのは、本文の言葉を長く抜き出して字数をはみ出すか、逆に短すぎて必要な内容が欠けるかのどちらかです。設問の「なぜですか」には「から」で、「どういうことですか」には「こと」で終える、という文末の決まりを守れていない答案も多い。
直し方は、書く前に答えの部品を箇条書きにすることです。理由を聞かれたら、きっかけと気持ちの二つを書き出す。部品がそろってから文につなげます。部品の段階で親が確認すれば、どの要素が抜けているかがすぐ分かる。字数の調整は最後でいい。記述の採点で迷ったときは記述は模範解答と違っても正解になるかも参考にしてください。
読書量を増やす前に確かめたいこと
長文読解が苦手だと、まず本を読ませようと考えるご家庭が多いと思います。読書は語彙を広げるので無駄にはなりません。ただ、読む段階で止まっている子に、たくさん読ませても読み方は変わらない。
好きな本を楽しく読む力と、入試の文章を設問に沿って読む力は別のものです。読書好きなのに国語の点が伸びない子がいるのは、そのためです。読書は続けながら、上の三段階のどこで止まっているかを確かめて、その段階だけを練習してください。
語彙が原因の場合もあります。本文に分からない言葉が多いと、読む段階でつまずく。テストのあとで、意味を知らなかった言葉に印をつけさせると、語彙の問題かどうかが分かります。印が1ページに5つを超えるようなら、語彙の補強を先に進めましょう。言葉は単語帳で覚えるより、出てきた文章の中で意味を確かめたほうが残る。印をつけた言葉を、その文の中でどう使われていたかと一緒に覚えるのが近道だ。
家庭で続けられる1週間の練習例
塾の教材の文章を1つ選び、1週間かけて使い切ります。新しい文章を毎日解かせるより、1つの文章を三段階で繰り返したほうが、止まっている場所がはっきりします。
1日目 時間を計って解く。止まった場所に印をつける
2日目 段落ごとに一言でまとめ、本文の流れを親に説明する
3日目 選択肢問題の根拠に線を引き直す
4日目 記述問題の答えの部品を箇条書きにする
5日目 何も見ずにもう一度解き、1日目と比べる
5日目に点数が上がるのは当然で、覚えている分もあります。見るべきは点数ではなく、根拠に線を引けているか、部品をそろえてから書けているか、という手順のほうです。手順が身に付けば、初めての文章でも同じように解けるようになります。
止まる場所を一緒に見つける個別指導
家庭で答案を見ても、どの段階で止まっているのか判断がつかないこともあります。読めているのに本人がうまく説明できないだけなのか、本当に読めていないのか。答案だけでは分からない部分です。
INSPIRE ACADEMYは、中学受験の個別指導塾です。国語の授業では、お子さまに本文の流れを話してもらいながら、どこで読み方が崩れるかを確かめます。止まる場所が分かれば、練習は一つに絞れます。
長文読解の苦手が続いているなら、最近のテストの答案と問題用紙をお持ちください。三段階のどこから立て直すかを、一緒に整理します。
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