おしべは花粉をつくる器官です。めしべは花粉を受け取り、その内部で種子ができる過程に関わる器官です。まず、この役割の違いを押さえます。
中学受験で間違えやすいのは、子房と胚珠の取り違えです。「子房は果実、胚珠は種子」と言えても、図で指された場所を答えると逆になる。そんなときは暗唱を増やす前に、位置関係を確認します。
この記事では、花のつくりを学ぶ小学生と保護者に向けて、六つの部分を整理します。対象はアブラナやヘチマなどの被子植物。子房をもたないマツなどの裸子植物は、同じ図に当てはめません。
内容確認:2026年10月9日。図と確認問題は学習用に独自作成したものです。
おしべとめしべのつくりを比べる図
おしべは、先の袋状の「やく」と、それを支える「花糸(かし)」からなります。花粉がつくられるのはやくです。細長い部分をすべて花粉の通り道だと思っている場合は、役割から整理し直します。
めしべは、先端の「柱頭(ちゅうとう)」、その下の「花柱(かちゅう)」、根元の「子房(しぼう)」を確認します。胚珠(はいしゅ)は子房の中にあるので、四つを横一列に並べて覚えないことが大切です。
図1 おしべとめしべを分けて拡大
おしべ
花粉をつくる
やくを支える
めしべ
位置とつながりを示す模式図です。実際の形・大きさ・数は植物によって異なります。花びらとがくは省略し、子房は中が見えるように描いています。
花糸と花柱は、どちらも細長く見えます。しかし、花糸はおしべの一部、花柱はめしべの一部です。図の細さで決めず、上にやくがあるのか、下に子房がつながるのかをたどると区別できます。
| 部分 | 位置と役割 |
|---|---|
| やく | おしべの先の袋状の部分/花粉をつくる |
| 花糸 | おしべの細い柄/やくを支える |
| 柱頭 | めしべの先端/花粉が付く |
| 花柱 | 柱頭と子房をつなぐ部分 |
| 子房 | めしべの根元/中に胚珠がある |
| 胚珠 | 子房の中/後に種子になる |
問題文の聞き方にも注意します。「花粉が付く器官」ならめしべ、「めしべのどの部分か」なら柱頭と、答える細かさが変わります。知識が合っていても問いに合わない答えになるため、採点では指示と答案を一緒に見ます。
受粉と受精を分ける場所と出来事
受粉は、おしべの花粉がめしべの柱頭に付くことです。「花粉が花びらに付く」「花粉が直接、子房の中へ入る」と答えたら、まず到着する場所を図で確認します。
一方、受精は、精細胞と卵細胞の核が合体することです。被子植物では胚珠の中で起こります。受粉は柱頭での出来事、受精はその後に内部で起こる出来事。言葉が似ていても同じ意味ではありません。
もう一歩詳しくいうと、柱頭に付いた花粉から花粉管が伸び、精細胞が胚珠へ運ばれます。花粉の粒がそのまま種子になるわけではない。この点が分かると、受粉から実ができるまでをつなげて考えられます。
図2 受粉と受精は別の段階
花粉が柱頭に付く
精細胞が胚珠へ運ばれる
胚珠の中で精細胞と卵細胞の核が合体
被子植物の基本的な流れを示しています。細胞の詳しい仕組みは発展内容です。
小学生の学習では、まず受粉の定義と種子・果実のでき方を優先します。花粉管や細胞の名前は、使っている教材の範囲に合わせて加えれば十分です。最初から細部まで同じ重さで暗記させる必要はありません。
子房と胚珠から種子と果実への対応
基本の対応は「子房が果実に、胚珠が種子になる」です。子房の中に胚珠があり、成長後の果実の中に種子がある。この内外の関係を、下の図で比べてください。
図3 外側と内側を対応させる
花の段階
受粉・受精を経て成長
子房 → 果実 / 胚珠 → 種子
包含関係を示す図です。胚珠や種子の数、実物の形は表していません。
アブラナでは、細長いさや状の部分が果実で、その中に種子が入っています。日常の「果物」という呼び方と、理科の「果実」は範囲が違います。甘くて食べられるものだけが果実ではありません。
「実が大きくなったから種子も一つ」とは限りません。一つの子房に複数の胚珠をもつ植物もあります。図に粒がいくつ描かれているかだけで判断せず、問いが数を聞いているのか、名前を聞いているのかを分けます。
子房と胚珠を逆に覚える子には、言葉の並べ替えより、二重の囲みを描く練習が役立ちます。外の囲みに子房、中に胚珠と書く。次に別の囲みへ果実と種子を書き、対応するものを線で結びます。
ヘチマの雄花と雌花を見分ける基準
アブラナのように、一つの花におしべとめしべの両方がある花を両性花といいます。一方、ヘチマには雄花(おばな)と雌花(めばな)があり、おしべとめしべが別々の花に分かれています。
ヘチマの雄花にはおしべ、雌花にはめしべがあります。このように片方だけをもつ花は単性花です。「雄花はおしべ、雌花はめしべ」と対応させてから、実物や図で確かめると混ざりにくくなります。
ヘチマの雌花は、花の下にある子房のふくらみも手がかりになります。これは受粉した後に初めて現れるものではありません。花が咲く段階ですでに子房があり、その後、果実へと成長すると押さえます。
| 花の例 | おしべ | めしべ |
|---|---|---|
| アブラナの花 | ある | ある |
| ヘチマの雄花 | ある | ない |
| ヘチマの雌花 | ない | ある |
花びらがつながるかどうかで分ける合弁花・離弁花とは、見ている場所が違います。雄花・雌花を聞かれたらおしべとめしべへ、花びらの分類を聞かれたら花びらの根元へ、視線を切り替えます。
家庭で理解を確かめる三つの問い
保護者が聞くなら、名前を続けて言わせるだけでなく、図を指しながら質問してみてください。答えを間違えた場所によって、戻るべき内容が変わります。次の三問は、家庭用の確認問題です。
問1「花粉はどこでできて、どこに付く?」答えは「やくでできて、柱頭に付く」です。どちらも「おしべ」と答えるなら、つくる場所と受け取る場所を図1で別々に指して確認します。
問2「種子になる部分を、図の中で囲める?」正解は子房の中の胚珠です。子房全体を囲んだら、図3の内側だけを指してから描き直します。名前を忘れたのか、境界を取り違えたのかを見分けられます。
問3「ヘチマは雄花と雌花のどちらに果実ができる?」答えは雌花です。「めしべがあり、子房が成長するから」と理由までつながれば、用語をばらばらに覚えた状態から一歩進んでいます。
答えを教えた直後は、同じ図なら言えることがあります。翌日、向きや記号の違う図でも説明できるかを確かめてください。図中の「ア」を覚えるのではなく、部分の位置と役割で判断する練習になります。
正解を言わせる前に、「その矢印は外側のふくらみを指している? 中の粒を指している?」と聞く方法もあります。最初から子房・胚珠の二択を出すより、何を見て答えたのかが分かります。指す場所が合えば、そこへ名前を結び付けます。
花の実験問題にもつながる読み取り方
花のつくりが分かると、花粉を付けた場合と付けない場合を比べる実験も読みやすくなります。ただし、種子や果実ができた結果だけを見て結論を急がず、何を変え、何を同じにしたかを確かめます。
例えば、受粉の働きを調べたいのに、置き場所や水やりまで変えてしまうと、違いの原因を一つに絞れません。植物名を暗記する学習と、比較条件を読む学習は、実験問題の中で結び付きます。
条件の読み取りで迷う場合は、理科の実験で比べる条件を整理する記事も参考になります。今回は花のどの部分について調べているのかを、先に確かめると考えやすくなります。
理科の用語と図をつなぐ個別指導
INSPIRE ACADEMYでは、中学受験に向けた個別指導と学習相談を行っています。花の名前は覚えているのに図で間違える場合も、答案を見れば、用語・位置関係・問題文の読み取りのどこを確認すべきか具体的に話せます。
相談時には、間違えた問題とお子さまの答案をご用意ください。「植物が苦手」という大きなくくりから、次に練習する一つを見つける相談につなげます。
参照資料:福岡教育大学「花を構成する要素」、学校図書「令和8年度 理科教科書訂正表」の訂正後の花のつくり、啓林館「被子植物の場合」。
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