内容確認日:2026年10月7日/対象:小学4・5年生と保護者
「両方に当てはまる人数を引くんだよ」。集合算をこう教えたら、その問題は解けた。でも、少し言い方が変わると、また足すか引くかで迷ってしまう。そんな経験はありませんか。
計算のルールだけを覚えると、「なぜ引くのか」が置き去りになりがちです。集合算で先に確認したいのは、一人の子がどのグループに含まれているか。同じ子を二度数えたと分かれば、引き算の意味が見えてきます。
今回は40人のクラスを例に、重なる円、入れ子の枠、円グラフの順で整理します。どれも同じ40人を表した図です。お子さまが迷っている箇所に合わせて、必要な図から使ってください。
24人と20人を足すと44人になる理由
例題:40人のクラスで調べました
- カレーが好きな人:24人
- ラーメンが好きな人:20人
- 両方好きな人:12人
少なくとも一方が好きな人は何人ですか?
説明用に作成した問題です。全員が両方の質問に回答したものとします。
24+20を計算すると44人。クラスは40人なので、「あれ?」と立ち止まれます。ただ、合計が40人を超えたから適当に減らすのではありません。誰を余分に数えたのかを考えます。
両方好きな子を一人、思い浮かべてください。その子は「カレーが好きな24人」にも、「ラーメンが好きな20人」にも入っています。24人と20人を足したとき、その子の分を二回足しているのです。
そうした子が12人いるので、余分に数えた12人分を引きます。24+20-12=32人。両方好きな人を答えから除くのではなく、二回数えた分を一回に戻すための引き算です。
実際の人数を求めたら、40人以下になっているかも確認します。ただし、40人以下なら必ず正解というわけではありません。人数のつじつまと、誰を数えたかの両方を確かめます。
ベン図で分ける4つの場所
二つのグループの重なりを表すのがベン図です。円を二つ描き、真ん中を重ねます。今回なら、左がカレー、右がラーメンを好きな人。両方好きな12人は、重なった場所に入ります。
図1 重なりには両方好きな人が入る
24人
20人
だけ
12人
12人
だけ
8人
円の面積は人数の比を表していません。位置で条件の違いを示しています。
次に、カレーの24人から両方の12人を引きます。残った12人が「カレーだけ好きな人」です。ラーメンも同様に20-12=8人。この8人はカレーを好きではありません。
円の中には、カレーだけ12人、両方12人、ラーメンだけ8人がいる。これを足しても32人です。最初の式と違う考え方でも同じ答えになることを、図を指しながら確かめられます。
残る40-32=8人は、二つの円の外に置きます。図に書いた数を全部足して40人になれば、一人ひとりを重複なく四つの場所に分けられています。
注意したいのは、左側の重ならない場所に24人と書く間違いです。24人は左の円全体の人数で、中央の12人を含みます。「カレーが好き」と「カレーだけが好き」の違いを確認してください。
「少なくとも一方」に含まれる人
「少なくとも一方」という言葉で迷う子には、「一つ以上好きなら入ってよい」と言い換えます。カレーだけ、ラーメンだけ、両方好き。この三つが入り、どちらも好きではない人は入りません。
図2 クラス全体40人の中に32人が含まれる
少なくとも一方が好き 32人
12人
12人
8人
この32人に含まれない:どちらも好きではない8人
枠の大きさは人数比ではなく、含む・含まないの関係を示します。
「一方」とあるので、両方好きな人を外したくなるかもしれません。でも、前に「少なくとも」が付くと、一つでも二つでも条件を満たします。中央の12人も32人の内側にいることを図で見せます。
一方、「どちらか一方だけが好きな人」なら、両方の12人は含めません。カレーだけ12人とラーメンだけ8人を足して20人。「少なくとも一方」と「一方だけ」は、答えに含める人が違います。
この違いを教えるとき、最初から式を二つ覚えさせる必要はありません。「この問題で数える場所を囲んで」と頼み、中央を入れるか入れないかを確認します。囲む場所が決まってから計算します。
円グラフで確かめるクラス全体の内訳
ここまでで、40人を重なりのない四つのグループに分けました。この内訳は、一つの円でも表せます。円全体がクラス40人分で、一人は必ずどれか一つの部分に入ります。
図3 重複をなくすと円全体で40人
30%
30%
20%
20%
円全体:40人=100%
カレーが好きな24人は、円グラフでは「カレーだけ」と「両方」を合わせた部分です。ベン図では円一つだったグループが、こちらでは二つの部分になる。図が変わっても、含まれる人は変わりません。
最初の24人と20人を、そのまま二つの扇形にすることはできません。同じ12人が重複し、全体40人に対して44人分になってしまうためです。円グラフにする前に、重ならない分類へ直す必要があります。
割合をまだ習っていない場合は、図の人数だけを見れば十分です。割合を習った後なら、12÷40=0.3で30%、8÷40=0.2で20%と確認できます。四つを合わせて100%になることも確かめられます。
子どもの間違い方に合わせた声かけ
同じ誤答でも、原因が同じとは限りません。まずは「誰を数えたのか」を、図の場所で示してもらいます。答えを言い直すより、子どもが選んだ場所を見るほうが、考え方を確認しやすくなります。
| 答案の様子 | 確認すること | 声かけの例 |
|---|---|---|
| 24+20=44人 | 重複に気づいているか | 両方好きな子を何回数えた? |
| 一方だけを聞かれて32人 | 「だけ」の読み取り | 両方好きな子も入れてよい? |
| 図は正しいが計算が違う | 図と式の対応 | この12は図のどの人数? |
図で理解しにくければ、紙片に名前の代わりの印を書き、一人分のカードとして動かします。「両方好き」のカードを左にも右にも数えた後、実際には一枚しかないことを見せると、二重に数える意味を確かめられます。
逆に、図では正しく説明できる子に、最初からすべて教え直す必要はありません。足す場所や引く場所と式を結び付ける練習に絞ります。分かっている部分を残すことで、復習を長引かせずに済みます。
理解の確認には、数字を増やすより質問を変える方法も使えます。同じ図で「カレーだけなら?」「どちらも好きではない人は?」と尋ねる。答えが12人、8人と変わる理由まで説明できるかを見ます。
次の段階では、「両方好きな12人」を隠し、代わりに「どちらも好きではない8人」を伝えてみます。全体40人から8人を引くと、円の中は32人。24+20の44人との差で、両方好きな12人を求められます。
このときも、分かっている数字を先に図へ置きます。条件が変わっても四つの場所は変わらないため、覚えた式を探すより、空いている場所を埋める順番を考えやすくなります。
完成した図を読めるようになったら、白紙から自分で描けるかも確かめます。円の形が多少ゆがんでも問題ありません。二つの円と外側の枠を描き、中央に何を書くかを自分で決められることが目標です。
公式より先に確認したい条件の読み取り
集合算では、円をきれいに描くことが目的ではありません。「両方」「だけ」「少なくとも」という言葉が指す範囲を、図に移せることが大切です。その範囲が決まれば、式を選ぶ理由も説明できます。
家庭で教えるときは、最初から三つの図を全部描かせなくても構いません。重複ならベン図、言葉の範囲なら入れ子の図、全体の内訳なら円グラフ。迷った内容に合う図を一つ選んで使います。
INSPIRE ACADEMYでは、正解したかだけでなく、お子さまが問題文のどの条件を使ったかを確かめながら個別指導を行います。図にする段階で迷うのか、図から式に移す段階で止まるのかを整理し、必要な練習につなげます。
同じ説明を繰り返しても解けないときは、書きかけの図や途中式も相談の手がかりになります。無料体験授業・学習相談では、解けなかった問題をもとに、どこから教え直すかをご相談ください。
参考:総務省統計局「なるほど統計学園」円グラフ。全体と内訳の表し方を確認しています。本記事の例題と図は学習用のオリジナルで、実際の調査結果ではありません。
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